東大理1に余裕で合格も、心を壊した神童が振り返る18歳の時の【致命的な間違い】 理3再受験した彼が描く再起の先の未来とは

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「実は出願直前まで理科3類に出すつもりでした。でも、うちは浪人NGの家庭で、万が一落ちたらという恐怖がありました。それに、1年間の受験勉強から解放されたいという弱さもあって……結局、理科1類に出願しました」

理3でA判定。センター試験で835点。それでも、彼は「逃げた」のだと語ります。

「今思えば、あれは完全に逃げでした。数学に興味があるからとか、宇宙の真理を探究したいとか、色々と理由をつけましたけど、本当は怖かっただけ。その後悔は、ずっと心のどこかに残っていました」

東大理科1類には、最低合格点を100点近く上回って合格しました。危なげない合格でした。しかし彼の心には、小さなとげが刺さったままでした。

順風満帆なはずの彼の心が壊れはじめる

東京大学に進学したSakiさんは、教養学部でも好成績を収め、進学振り分けでは医学部以外ならどこでも進める状態でした。物理をやるか数学をやるかで迷った末、脳科学を数理科学的なアプローチで研究できる学科に進みます。

「それまでは物理の技術や考え方を使う仕事や、物理の研究者になろうと思っていたのですが、1、2年の時に物理を結構やって、この世界はあまりに難しいなと感じました。宇宙は広すぎるし、そんな膨大なものを生きている間に人類が解明するのは不可能で、そこに人生を使うのは違うなと思って。それで物理をやめることにしたんです」

「次に関心がある分野を考えてみたところ、人間に関することでした。なぜ自分が意識を持っているのか、意識がどこから生まれているのか、なぜ脳から意識や自我が生まれて感情が生まれるのか。そういったことに興味があって、脳科学を数理科学的なアプローチで取り組んでいる研究室がある学科に進みました」

その後、大学院にも進学し、就職活動では外資系企業のエンジニア職で内定を獲得しました。はたから見れば、完璧なキャリアでした。

しかし、修士2年になった春、彼の心は壊れ始めます。

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