なぜ合羽橋だったのかというと、当時お菓子作りに熱中していた私は東京に行く度に足を運んでいたからだ。
道具街には多くの製菓道具店が並び、地方では売っていないマニアックな製菓道具もなんでもそろっている。欲しいものはすぐ見つかるし、眺めているだけで創作意欲が刺激された。当時すでにネットショッピングが普及していたが、やはり実際に手に取って見られるのは楽しさが全然違う。合羽橋はまるで夢の国、私にとってのディズニーランドだった。
そんな場所に住んでしまえばどんなに楽しいか。合羽橋は浅草にも近いので観光地色が強いのかと思いきや、調べてみると意外とマンションも多く、スーパーなど生活に便利な施設もそろっていた。通勤にもちょうどいいこともあり「夢の国」での生活がスタートした。
自宅を趣味のラボ化
東京に引っ越してまず私が取り組んだのが自宅の“ラボ化”だ。せっかく合羽橋に住むのなら、とことんお菓子作りに集中できる環境を整えよう――自宅キッチンをお菓子作りに最適化していった。
まずは飲食店でしか使わないような業務用の作業台を購入。もちろん近所の道具屋で買ったが、「近所だから」と店のおじさんが自宅まで運ぶのを手伝ってくれた。さらに当時コーヒーにも熱を上げていた私は業務用のエスプレッソマシンとグラインダー(豆を挽く機器)を購入。仕事が終われば毎日お菓子作りとラテアートの練習に時間を費やした。


















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