年末年始を楽しみつつ"正月太り"を防ぐ3つのコツ。「睡眠不足でカップ麺1杯分」「体重増からの絶食はむしろ逆効果」の怖い真実【医師が解説】
よくあるのが「翌日まるごと絶食する」という方法ですが、これはあまり勧められません。その次の食事で血糖とブドウ糖を取り込むホルモンであるインスリンが過剰に増え、かえって脂肪合成が促されるリスクがあるためです。
ベターな方法は、摂取エネルギーはやや少なめにしながらも、血糖スパイクを起こさない程度にしっかり食べることです。
「食べる順番」でGLP-1を味方に
最近、GLP-1受容体作動薬(いわゆる“やせる注射・飲み薬”といわれているもの)が話題ですが、もともとのGLP-1は、私たちの腸から自然に分泌されているホルモンです。
血糖値が高いときだけインスリン分泌を助け、グルカゴン(肝臓から糖を放出させるホルモン)を抑えて、胃の出口をゆっくり開かせることで、満腹感を長く保つ役割を持っています。
このGLP-1の働きを、薬に頼らず「食べ方」で引き出す方法として注目されているのが、「食べる順番」の工夫です。
糖尿病患者さんを対象に、「パンやご飯などの炭水化物を先に食べる場合」と「肉や魚・野菜を先に食べ、炭水化物を最後に食べる場合」を比較した研究では、後者の食べ方のほうが、食後血糖値とインスリンの上昇が明らかに低く抑えられることが示されています。
さらに、同じグループの研究では、「炭水化物を最後に食べるパターン」だと食後の血糖値だけでなく、インスリンの分泌量が減り、GLP-1の分泌が高まるという結果も報告されています。
つまり、「野菜・タンパク質→炭水化物」という順番で食べることは、GLP-1をはじめとする消化管ホルモンの働きを有利に使い、肥満につながる血糖スパイクとインスリンの過剰分泌を抑える、シンプルかつ強力な“正月太り対策”といえます。
実際の飲み会や、大晦日・正月料理の場面でできる工夫は、とても地味です。しかしこれが重要なポイントです。
• 次に、刺身・焼き魚・卵焼き・肉料理・豆腐など、タンパク質が主役の皿をしっかり食べる
• ご飯・餅・麺類・パンなどの主食系は最後に少なめにする
同じメニューでも、「順番を変えるだけ」で、GLP-1分泌と血糖コントロールの面で大きな差が出る可能性が、先に示した研究などから示唆されています。


















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