ハーンが赴任した年は記録的な大雪… 朝ドラ「ばけばけ」小泉八雲とセツを結んだ意外なモノとは?
朝ドラ「ばけばけ」では、ハーンをモデルにしたヘブン先生をトミー・バストウが好演。エキセントリックな言動が多い人物として演じているが、実像と遠からずといったところではないだろうか。
日本に着いた途端、依頼元を切ってしまったハーンは、東京帝国大学の教師を務めるバジル・ホール・チェンバレンに就職のあっせんを依頼することに。そこで松江市にある島根県尋常中学校および師範学校の英語教師の職を紹介されることになった。
そのように、ひょんなことから滞在することになった松江のことを、ハーンはいたく気に入ったようだ。ハーンの妻セツは『思ひ出の記』でこう振り返っている。「ヘルン」とはハーンのことである。
「(松江は)大橋の上に上ると東には土地の人の出雲冨士と申します伯耆の大山が、遥かに冨士山のような姿をして聳えて居ります。大橋川がゆるゆるその方向へ流れて参ります。西の方は湖水と天とぴったり溶けあって、静かな波の上に白帆が往来しています。小さい島があってそこには弁天様の祠があって松が五六本はえています。ヘルンには先ずこの景色が気に入ったろうと思われます」
セツは「ヘルンは辺鄙なところ程好きであった」とも振り返っている。ハーンは来日後、最初の著書となる『知られぬ日本の面影』の一編で松江をこう呼んだ。
「神々の国の首都」
来日してすぐにスポンサーとケンカ別れ……というハーンの無鉄砲なところが、松江赴任という幸運を呼び込むことになった。
寒がりだったからめぐり合えた二人
だが、松江が大好きになったハーンも一つ、困ったことがあった。それは寒いことである。「ばけばけ」では、松江の冬のあまりの寒さに「ジゴク」と訴えるシーンがあったが、実際のハーンも寒がりだったという。
「出雲は面白くてヘルンの気に入ったのですが、西印度のような熱いところに慣れたあとですから、出雲の冬の寒さには随分困りました。その頃の松江には、未だストーヴと申す物がありませんでした。学校では冬になりましても、大きい火鉢が一つ教場に出るだけでした」


















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