「初詣のあとに…」愛犬の死を招いた主人の"善意"――飼い主が知っておきたい「クリスマスや年末年始に増えるペットの急死」の裏側と対策

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動物の口に入る大きさの物であれば、磁石にかぎらず何でも事故の原因になりえます。たとえば、イヌではタオルやロープ、ネコではジョイントマット【前出・関連記事参照】を誤飲して、死亡するケースが後を絶ちません。

意外に思われるかもしれませんが、市販されているひも状の「ネコじゃらし」などのおもちゃにも注意が必要です。

飼い主さんが見ている状態で遊ばせるぶんにはよいかもしれませんが、それを出しっぱなしにしていると、ネコが1匹で遊ぶうちに誤って飲み込んでしまうことがあります。

ペットが誤って飲み込む可能性のあるものは、できるだけペットの生活空間から排除しておきましょう。

もっとも、生活空間に小物を一切置かないようにするというのは現実的ではありません。しかしせめて、身の回りに壊れているものやいつの間にかなくなっているものがないかを、飼い主さんは日頃から意識しておくようにしてください。

異物を飲み込んでしまったら?

ペットが急にぐったりしたり食欲が落ちたりするなど、様子の異変に気づいたときは、早めに動物病院を受診しましょう。

早めに診断することができれば、内視鏡や開腹手術によって除去できます。多くの異物はレントゲン検査で確認することができますが、なかにはレントゲンで確認が難しい異物もあります。

「数日様子を見てみよう」という先送りの判断は、往々にして取り返しのつかない結果につながります。

イベントが重なる年末年始は、僕たち人間にとっては心躍る非日常です。しかし、飼い主の生活リズムの変化は、それに付き合わされるペットにとっては大きなリスクとなることがあります。

ペット自身は環境の変化に気をつけられませんから、人間ができるだけ普段と同じ環境で飼ってあげるように努めなくてはなりませんね。

中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家

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なかむらしんいち / Shinichi Nakamura

1982年生まれ。大阪府出身。岡山理科大学獣医学部獣医学科講師。獣医師、博士(獣医学)、獣医病理学専門家、毒性病理学専門家。麻布大学獣医学部卒業、同大学院博士課程修了。京都市役所、株式会社栄養・病理学研究所を経て、2022年4月より現職。イカやヒトデからアフリカゾウまで、依頼があればどんな動物でも病理解剖、病理診断している。著書に『獣医病理学者が語る 動物のからだと病気』(緑書房,2022)。

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大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者

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おおたに ともみち / Tomomichi Ohtani

1982年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒業。同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻修士課程修了。同博士課程中退。出版社勤務を経て2015年2月にスタジオ大四畳半を設立し、現在に至る。農学・生命科学・理科教育・食などの分野の難解な事柄をわかりやすく伝えるサイエンスライターとして活動。主に書籍の企画・執筆・編集を行っている。著書に『増補版寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』(講談社)、『眠れなくなるほどキモい生き物』(集英社インターナショナル)、『ウシのげっぷを退治しろ』(旬報社)など。

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