朝から1匹で留守番をしていたチワワは、散歩に大喜びし、はしゃいでいたそうです。しかし、空腹状態でのドカ食いと、その直後の激しい運動は、チワワの消化管に大きな負担をかけてしまったのでしょう。
ドカ食いで拡張した胃は、内容物を腸へ送り出す正常な動きができなくなります。嘔吐によって内容物を吐き出そうとしますが、その途中で誤って気管に入り込むことがあります(飲食物が気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます)。
このチワワの場合、食べた餌の塊が気管をふさぎ、窒息死に至りました。
仮に窒息を免れていたとしても、誤嚥性肺炎という致死率の高い肺炎を引き起こしていた可能性は高かったでしょう。
飼い主さんが異変に気づいた時点で、動物病院に連絡し、迅速に処置できていれば、チワワの命は助かった可能性はあります。ただ、極めて限られた時間のなかで、獣医師ではない飼い主さんが誤嚥を適切に処置するのは、難しかったでしょう。
普段と異なる間隔や量で餌を与えることは、ペットの命を危険にさらすことがあります。プロの飼育員がいる動物園でも、同様の原因で死亡事故が起きることは珍しくありません。
長時間、家を留守にする場合、その前後で餌をまとめて与えるのではなく、いつもと同じ時間にいつもと同じ量の餌を与えられる「自動給餌器」を使うようにしましょう。わが家でも、家族が用事などで長時間外出をするときは、自動給餌器を使ってネコに餌を与えています。
この年末年始、実家への帰省などにペットを一緒に連れて行くという飼い主さんもいるでしょう。ただ、環境の変化そのものがストレスとなり、餌を食べなくなったり体調を崩したりする動物もいます。
同種の動物でも個体差があります。場合によっては、ペットホテルを利用する、あるいは飼い主さんが長時間の外出を諦めるという選択も必要になることがあります。
飼っていたフェレットの死
師走、世間が慌ただしくなってきた時期、1歳のオスのフェレットの飼い主さんから、病理解剖の依頼がありました。


















