「初詣のあとに…」愛犬の死を招いた主人の"善意"――飼い主が知っておきたい「クリスマスや年末年始に増えるペットの急死」の裏側と対策

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

三が日を過ぎて間もない日、動物病院から6歳のオスのチワワの病理解剖の依頼がありました。散歩後に急に苦しみだし、瀕死の状態で来院したものの、そのまま亡くなったとのことでした。

まだそれほどの年齢でもなく、これまで大きな病気もしなかったチワワです。動物病院の獣医師は「散歩中に何かを拾い食いし、中毒を起こしたのではないか」と疑っていました。

飼い主さんは突然の悲劇に動揺しながら、「とにかく、正確な死因を知りたい」と強く望まれたそうです。

正月休み中ではありましたが、病理解剖に暦は関係ありません。時間が経つと遺体の組織は変性し、死因の特定が難しくなるからです。家族には申し訳ないところですが、解剖室に向かい、遺体を受け取ってすぐに解剖を始めました。

死因は中毒ではなかった

解剖を進めていくとすぐに、胃が大きく膨らんでいることに気付きました。胃拡張です。また、胃の内容物が逆流して、気管に入り込んでいることもわかりました。

気管は入り込んだ異物で塞がっていて、それによって窒息を起こしていたようでした。その後、組織などを詳しく検査した結果、死因は窒息死であり、中毒死ではなかったと正式に診断しました。

後日、この症例に関わった関係者間で行われた症例検討会では、チワワが死ぬ直前の飼い主さんの詳細な行いが、関係者に共有されました。

飼い主さんは、初詣や初売りのために朝早くから外出し、帰宅したのは家を出てからおよそ16時間後だったといいます。長時間の外出を見越して、家を出るときに餌をいつもより多めに置いていたそうです。帰宅すると餌入れは空になっていました。

「きっと、お腹をすかせているだろう」

そう思った飼い主さんは、「いつもより多めに餌を与えた」と言います。実際、空腹だったのでしょう。チワワは勢いよく餌を食べたそうです。

この時点ですでに問題があるのですが、餌を与えた直後に散歩に出掛けたことが状況を最悪にしました。

次ページドカ食いが原因で死亡?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事