ミュージカル、食事業、ロケット開発……。堀江氏は、もはや本業が何かわからなくなるほど多彩な活動を続けている。その一つ一つに真剣に向き合い、まずは自分が楽しむ。その姿に周りの人間が巻き込まれ、やがて一つの大きな流れが生まれていく。
今回のミュージカル「ブルーサンタクロース2025」は、父親を亡くした主人公の少年に、ブルーサンタクロースに扮する堀江氏が「どんなことがあってもワクワク生きること」を諭す物語だ。その裏には、堀江氏自身の人生をなぞるような、ブルーサンタクロースの苦悩と渇望も織り込まれている。
「どんなに辛い過去があっても、自分はワクワク生きるぞ」
その叫びに観客は心を動かされ、自らの人生を重ね合わせたのだろう。
「バカげたことにのめり込めるか」
堀江氏が今回の書籍『僕が料理をする理由 AI時代を自由に生きる40の視点』でも引用する言葉に、スティーブ・ジョブズの有名な“connecting the dots(点と点をつなぐ)”がある。
ジョブズは同じスピーチの最後に、“Stay hungry, stay foolish” というメッセージも残している。意訳すれば、「ハングリーであり続けろ。バカげたことを続けられる人間であれ」。
堀江氏はこう強調する。
「大事なのは、将来役に立つかどうかではなく、今のめり込めるかどうか。そうして没頭した経験だけが、あとから振り返ったときに意味を持つ、という考え方だ」
つまり、「なぜミュージカルをやるのか」にも厳密な“合理的目的”はないのかもしれない。ただ、「AI時代だからこそ、身体を使い、遊び尽くす人間でありたい」という意思の表れだといえる。
仕事がAIに代替される世界で、最後に残る差は何か。
それはきっと、「どれだけ自分の身体を使って、本気でのめり込めるか」「周りからは“ムダ”と思われることを楽しんでいるか」なのだろう。
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