「気分が落ち込む」「食欲が止まらない」「いつも眠い」…こんな症状があったら要注意。今すぐ始めたい"冬の3大症状"改善法【医師が解説】

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■うつ病との違いは?

うつ病は、一般的に憂鬱な気分に加えて、食欲不振や不眠などの身体症状が表れることが多いです。それに対し冬季うつ病では、過食や過眠、体重増加が特徴的な症状となります。

なぜ過食や過眠、体重増加が起こるのか、そのしくみについては後述しましょう。

■原因は寒さじゃない?

少々専門的になりますが、冬季うつ病は抑うつ障害という病気のグループのなかの、「季節型」と分類されていて、「季節性うつ病」や「季節性感情障害」とも呼ばれます。そしてこの病気には気温の低下、つまり寒さよりもむしろ、日照時間の減少のほうが深く関係していることがわかっています。

たとえば、北海道や東北、北陸地方など雪が多い地域では、冬にあまり晴れ間(日光)が見られないことから、冬季うつ病にかかりやすい傾向があります。

スウェーデンやフィンランドなど北欧の高緯度地域では、冬季うつ病は仕事や学業、日常生活に質や量の低下をもたらしたり、人との交流が減って孤立や孤独の状態になったりすることから問題視されており、行政や福祉の立場からさまざまな対策が講じられています。

日照時間とセロトニンの関係

ではなぜ、冬の日照時間の減少が脳に影響を与えてしまうのでしょうか。

それについては、これまでにさまざまな研究がなされてきて、脳内にあるセロトニンという物質の分泌量の変化が関係することがわかりました。

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれていて、神経細胞の間で情報をやりとりする神経伝達物質の1つです。脳の深い場所にある脳幹の一部に高い濃度で分布し、ほかの神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンなどが伝える感情の情報(喜び、快楽、恐怖、驚きなど)をコントロールし、精神を安定化させる働きがあります。

このセロトニンの分泌量が冬になると減るため、感情のコントロールが利きにくくなり、ちょっとしたことで抑うつ感や悲しみ、不安感といったうつ病で見られる症状が生じたり、やる気を喪失したりしてしまうのです。

セロトニンと同じく、冬季うつに関係しているのがメラトニンという物質です。

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