5G、通信量急増で2029年にも限界へ。新周波数"7GHz帯"は、6G時代に向け実用性を示せるか
「AIの導入によってトラフィックはさらに伸びていきます。現状のまま進むと、2029年から2030年頃には5Gネットワークが容量の限界に達してしまいます」と高岡氏は説明した。
6Gの商用サービス開始は2030年頃と見込まれている。それに先立ち、どの周波数帯を6Gに割り当てるかという国際的な議論が進んでいる。
周波数の国際調整を担うのが、国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)だ。ITUは3〜4年に1度「世界無線通信会議(WRC)」を開催し、どの周波数帯を何に使うかの大枠を決める。2023年のWRC-23では、6.425〜7.125GHz帯が携帯電話向けの「候補」として特定された。
WRCでの決定は法的拘束力を持たないが、各国が国内制度を整える際の根拠になる。ここで候補に入ることが、実用化への第一関門といえる。
欧州は「Wi-Fiではなく携帯電話に」で決着
Wi-Fiと携帯電話は、どちらも電波を使う点では同じだ。しかし運用ルールが根本的に異なる。
携帯電話は「免許制」だ。国が周波数を割り当て、通信事業者が免許を受けて使う。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルがそれぞれ異なる周波数を持ち、互いに干渉しないよう厳密に管理されている。一方、Wi-Fiは「免許不要」で、誰でも自由に使える。自宅のルーターも、カフェのWi-Fiも、同じ周波数帯を共用している。だからこそ混雑すると遅くなりやすい。
7GHz帯をめぐっては、携帯電話向けに使うか、Wi-Fi向けに使うかという議論が世界各地で続いてきた。「IMT」という言葉が出てくるが、これは「International Mobile Telecommunications」の略で、要するに携帯電話の国際規格を指す。
高岡氏によると、欧州の無線スペクトル政策グループ(RSPG)は11月12日の会合で、6.4〜7GHz帯を携帯電話向け(IMT)に完全割当する方向で意見書を提出することで合意した。RSPGは欧州委員会への諮問機関で、ここでの合意はEU加盟国の周波数政策を事実上方向づける。Wi-Fiとの共用ではなく、携帯電話に7000MHz幅をまるごと割り当てる決定だ。
この背景には、携帯電話とWi-Fiの共存が技術的に難しいという実験結果がある。ノキアはイギリスのBTと共同で、7GHz帯における携帯電話とWi-Fiの干渉実験を実施した。結果は厳しいものだった。



















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