5Gの整備が一区切りを迎えた国内通信業界。3大キャリアの投資に対するスタンスの違いが明確になりつつある。
「2030年までかけて、“完璧な5G”を社会基盤インフラとして整備する。今年度からいよいよ5Gの本格普及期に入り、『本丸』が拡大していく」
6月14日に都内で開かれた5Gのエリア展開に関する記者説明会で、KDDIの前田大輔・技術企画本部長はこのように意気込んだ。
5Gは2020年の商用化以降、「5Gならでは」のサービスが実感できないと指摘されてきた。その主要因は、超高速大容量、超低遅延、多数同時接続といった5G本来の特性を発揮する専用周波数であるサブ6やミリ波の展開が限定的だったことだ。冒頭の前田氏が言う「本丸」とは、このサブ6を指す。
総務省のワーキンググループは5月、2027年度までにサブ6で都市部のカバー率を80%とする目標を定めた。ネットワーク環境の整備を先行させ、5G固有の端末やユースケースの登場を促す狙いだ。
5Gの割り当て時に決められた範囲での携帯キャリアによる整備は3月で一区切りし、今後の戦略は各社に委ねられる。これまでの4年間を「導入期の初期展開」と位置づけ、セオリー通り、サブ6普及に邁進する姿勢を鮮明にしたのがKDDIだった。
サブ6に邁進する正統派のKDDI
KDDIは5Gの開始当初、4G周波数を5Gに転用させる形でエリア拡大を図ってきたが、とくに2023年度以降は都市部を中心にサブ6の整備を急速に進めた。同年度末時点の5Gの基地局数は9.4万局で、このうちサブ6は3.9万局に上る。
足元のサブ6エリアは急拡大し、5月末時点では1月末と比べ、関東で2.8倍、全国で1.5倍に広がったという。そして冒頭の説明会では、「サブ6基地局数No.1」という業界ポジションを強調した。
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