通信業界は2030年代に向けてどんな変化をするのか。直近まで2年にわたり次世代通信政策を牽引してきた、総務省の前・技術政策課長に聞いた。
次世代通信はこれまでと違う変化をする
――総務省では次世代通信を「ビヨンド5G」と呼んでいます。「6G」とは何が違うのでしょうか。
「ビヨンド5G」や「6G」とは何か、と言われると、世界の共通理解は存在していない。「10年ぐらい先にできるだろうネットワーク」の姿をどう呼ぶか、ということだ。
「6G」と言う国も多いが、5Gの次の「確定しているもの」という語感を与える。ただ、次はこれまでの10年間のジェネレーションと全然違う(進化をする)のではないかと思う。
5Gまでは、無線の部分、スマホから地上のビルの上にある基地局間の無線通信を高度化することで、できるだけつながりやすく、多くの情報が流れるようにする議論をしてきた。無線よりも先の部分はあまり考慮せず、地上のネットワークしか想定していなかった。
次世代は明らかに衛星などの非地上系ネットワークが入ってくる。「これまでとは違う変化をする」という語感を持ちながら、僕は「ビヨンド5G」という言葉を使っている。
実際、日本の総務省や情報通信審議会は、無線だけでなく、有線の部分、陸海空含めたすべてを「ビヨンド5G」ととらえようと議論している。諸外国では、従来の延長で、「5Gの次は6Gが来る、じゃあどうしよう」という議論をしている国が多い印象だ。日本の取り組みを差別化する意味でも、「ビヨンド5G」は定義上、気に入っている。
――5Gまでのように無線中心ではなく、それ以外の通信も含めて幅広く見る、ということですね。なぜ次世代は、無線の世界の延長でとらえることが難しいのでしょうか。
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