このように模試の判定があまりよくない状態の子供や、共通テストで思ったほど点が取れない子供に対して、「この得点じゃ第1志望は厳しいから、第2志望に変えなさい」「安全校を受けないと不合格になるよ」というような言葉をかける親御さんは多いと思います。
中には、「本人は第1志望を受けたいと言っているのに、親が強制的にランクを下げさせた」というケースすらあります。子供のためを思っての選択とはいえ、これはなかなか酷い話ですよね。
でも、そうやってどれだけ偏差値を下げても、第2志望にすら受からないケースは珍しくありません。
それはなぜか? いろんな理由が考えられますが、自分は結局のところ、親が介入した瞬間、「本人の受験」ではなくなってしまうからだと思っています。
どんなに“安全な大学”であっても、本人が決めていない受験はうまくいきません。本人が主役じゃなくなった瞬間、受験は途端に「他人事」になってしまいます。これは模試のデータや偏差値とかよりも、ずっと奥深くて重要な構造的な問題です。
“自分ごと”じゃない受験はうまくいかない
受験というのは、本当に残酷なほど“自分ごと”じゃないと勝てない勝負です。「親に言われたから志望校を下げた」「親が勧めたから第2志望を受けた」というような選択をすると、子供本人が「自分の人生の主導権」を失います。自分の受験なのに、自分の意志で動いていない感覚が生まれ、モチベーションが一気に下がってしまう。「自分の人生じゃない」と感じた時点で、勉強への集中力も、踏ん張りも、覚悟も弱くなる。その結果、第1志望はもちろん、第2志望も、時には“滑り止め”すらすべて崩れてしまうケースが本当に多い。
親の介入が“悪”というわけではありません。ただ、受験の主役が子供から親に移ると、受験はどこかで破綻するという事実だけは、受験指導の現場にいると痛いほど見えてくるのです。



















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