「AI企業への投資は絶対に儲からない」と断言できる「11の理由」

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第6に、実体があるというのは、AI革命は本物で、今後、われわれの世界はAIに支配されるようになるかもしれない、あるいは、それほど普及し、社会全体に大きな影響を与える、ということである。

となれば、ほとんどすべての産業、企業がAIに向けて本気になる。AIそのものはその中核にあるから、可能性のある企業はすべて参入してくる。世界中のすべての地域から参入してくる。しかも、前述のように、本質の戦いである。となれば、過当競争は必至であろう。誰かは勝ち残るが、ほとんどすべては屍となり、損失の山となる。当たりはどこかにあるが、全体では大きくリターンがマイナスになるのであり、期待値は大きなマイナスである。

第7に、勝ち残ったとしても儲かるとは限らない。AIはAIそのものであり、プラットフォームや囲い込みなどの幼稚な儲け戦略は通用しないからである。ビジネスモデルのほとんどは幼稚な他愛もないものである。だから争いが激しくなるのだが、そして、誰でもできるにもかかわらず、いったん確立させてしまえば、既得権益のようにそのポジションで、少なくともしばらくは儲けられる。だから、ビジネスはおいしいのであり、皆が最初にポジションを占めようとしてスピードを争い、1秒でも先んじようとして、戦うのである。

しかし、本質勝負であれば、ポジションは関係ないので、トップに立っても、すぐに追いつかれる、抜かれる恐れがある。その恐れは一生付きまとう。それゆえ、一生走り続けなくてはいけない。ということは一生投資、開発を続けないといけない。AI革命は真に革命であるだけに、この進歩競争の期間は長期にわたる。だから、今から全力で投資している企業は、一部の勝ち続ける組以外は、脱落していくのである。

先行者利得は持続しない

第8に、つまり、本物の革命であるだけに、技術開発、進歩は急速に進む。そして、急速進歩の期間は、まだまだ長期にわたって続く。今後、ブレイクスルーは何度もやってくる。そして、そのブレイクスルーもすぐにブレイクされる。となると、今勝っている技術は高い確率でアウトオブデ―トになる。負け組になる。だから今の投資はほぼすべて儲からない。

第9に、だから、先行者利得は持続しない。超短期である。成功するメリットはほとんどない。投資家を説得しやすい程度のことであり、投資家もすぐになれる。半導体では、技術革新が早すぎて、またメモリーのDRAMの競争は世代ごとに1回休む、ということをした。韓国のサムスン電子が次世代を狙い、当世代に勝っていた東芝は、「次は無理せずにサムスン電子に譲り、次々世代を狙う」ということになっていた。AIも、後発者利得さえあるはずだ。より効率的な技術や方式が生まれてくるはずだ。

第10に、これと連動して、データを蓄積して先行者利益を狙っているが、これらのデータはすぐに陳腐化するので、必ずしも先行者が蓄積したデータは武器にならない。それどころか足かせになる可能性すらある。技術進歩も早いが、今、蓄積している消費者データは、現代の消費者のデータであり、彼らは、年々、いや毎月毎月、気まぐれ度合いを増している。昨日の消費行動は、明日はまったく別の行動に変わっている。先週なぜ自分はあんなことをやっていたのか、自分でも思い出せない。だから、過去のデータは、分析のノイズとなり、意思決定をミスリードし、ビジネスの足かせになる可能性すらある。

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