実は、ビジョンファンドなどのファンドも同じだ。AIへの期待というテーマで、「実際に」実弾である資金を出資してくれている。ファンドの持ち分という権利が実際の需要として実現し、現在の「現金」という実体のあるものに、形を変えてしまっているからだ。
もっと単純に、AI株を昨日買って、未来への期待に基づいて今日「実現」している需要に基づいて、今日売ってしまえば、実需に基づき、実体のある「利益」として今日実現する。
これは、実はすべての金融投資について言えることだ。すべては期待に基づき、実現性は関係ない。よく相場では「噂で買い事実で売れ」というが、この場合の事実も、実現したファクトではない。未来への期待で買い、その「期待」の実現で売れ、ということなのだ。期待外れであれば暴落、期待が実現したとしても、材料出尽くしで売り。さらに上昇する場合は、期待を大幅に上回る「事実」があるのではなく、事実かどうかとは無関係に、期待を上回る「期待」がさらに膨らむ場合だけである。
AI企業への投資が異常である「11の理由」
となると、AIだけについて「AI企業への投資は儲からない」、と改めて言う必要があるのか?
ある。AIはやはり特別で特殊だからだ。では、何が特殊か?
第1に、期待の盛り上がり方が特殊だ。異常だ。価格上昇の程度が異常である。これは1999年のテックバブルの比ではない。オープンAIは未上場の時点ですでに約100兆円近くの時価が付けられようとしている。
第2に、それにもかかわらず、どうやって利益を上げるかが見えていない。将来のキャッシュフローで値付けをしようにもまったくできない状況である。それに対して100兆円規模である。
第3に、同じことだが、ビジネスモデルがはっきりしない。オープンAIが、グーグルの最新AIモデルである「Gemini 3」に逆転を許したか、と言われるのも、グーグルは検索エンジンを中心としたビジネスプラットフォームを確立し、それに生成AIが乗る形になっており、ビジネスモデルはすでに確立している。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら