「地上波なら間違いなくお蔵入り」… 《タレント・MEGUMI》が「ヤンキー11人の恋リア」を仕掛ける"深い理由" 本人に聞いた

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制作の初期段階では、毎回コラージュを作り、「こういう世界観です」と言葉やビジュアルで示し、出演者との面談では「番組として大事にしたい姿勢」を伝え、軸を共有していく。そんな丁寧な積み重ねによって形づくっていったのでした。

ラヴ上等
14日間の共同生活を通して心の距離を縮めていく(画像:Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」独占配信中)

その一方で、MEGUMIさんにはどうしても盛り込みたいと思っていたテーマがあったのでした。それが 「贖罪」と「傷を癒やすこと」 です。

「出演者の皆さんと話すと、全員傷があるんです。自分が置かれた環境の中で一生懸命やっていても、“やってること全部NG”みたいに扱われてしまう。怖がられると、怖く振る舞うしかないじゃないですか。悲しきモンスターみたいになっちゃうこともある」

そんな彼ら彼女らが廃校を改装した校舎で14日間の共同生活をする番組設定には、同じ境遇の仲間と暮らす体験が息づいています。

「初めての経験、はじめましての人たちと暮らすことで、“あ、間違ってなかったんだ”“これでよかったんだ”って思ってもらえると思ったんです。恋愛だけじゃなくて、傷を癒やして、それを手放して、人生の再生を意識してもらうことは結構大事にしました」

ヤンキーをキュートに見せる

ラヴ上等
女優・タレント・プロデューサー・経営者と多方面で活動を続けるMEGUMIさん(画像:Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」独占配信中)

さらに、番組全体には、MEGUMIさん自身の“母としてのフィルター”も強く通っています。

「ヤンキーの方たちをキュートに見せる、というのがど頭にあったんです。やっぱり自分の目線が母性なんですよね。うちの息子もやんちゃなので、彼らが息子みたいに見える瞬間があったり。たとえ手に負えなくても、ちょっとした優しさにキュンとするというか」

だからこそ、企画の根底にあったのは「人間味をどう伝えるか」でした。

「みんなの人間味にキュンときてる私のフィルターを通して、その素の良さと強さをちゃんと描くべきだと思いました」

MEGUMIプロデュース「ラヴ上等」の“強さ”は、決して攻めた設定でも過剰さでもありません。人のありのままをまっすぐに受け止めようとする、MEGUMIさんの視線そのものに宿っています。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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