さらにMEGUMIさんは、ヤンキーという存在に日本文化の深層も見ていました。「海外の映画祭に行くと“なんでもっと日本らしさを出さないの?”ってすごく言われるんです。そこで、日本のカルチャーを自分たちが理解できていないことに気づいて」。
その視点で見ると、ヤンキー文化は“日本のカオス”を象徴する存在へと変わります。「ヤンキー文化って、本当にカオスなんですよ。アメリカのダイナーも任侠も、入れ墨もリーゼントも盆栽もギャルも……全部混ざっている。でも変に調和してしまう。それが“超ジャパン”なんです」。
この文化的混合性は美術セットにも徹底的に落とし込まれました。「削ぎ落とすんじゃなくて“盛る美学”こそ日本の強さ。だから特攻服の横にゴシック調のタイルを張って、ターコイズブルーのソファーを置いたり、誰も見たことがない“日本のカオス”を作りました」。
一方で、ありそうでなかった「ヤンキー×恋リア×超ジャパン」という挑戦は、常にリスクもはらんでいました。
「間違いなく地上波ではお蔵入りでした。“はー? マジっすか!終わったかも”という瞬間が実は何度もあって。緊急Zoomが立ち上がることもありました」
ヒヤヒヤ場面の連続だった当時の現場の空気を振り返りながらMEGUMIさんは続けます。
「Netflixは“行きましょう”と言ってくれたんです。攻めた表現も受け止め、必死で番組として成立させてくれた。思ったよりもすごいものができたというか、超えすぎたというか。でも、誰も見たことがないエネルギッシュな作品になりました」
苦手なことは“やらない”と決めた
Netflixの「ボーイフレンド」ではスタジオトーク出演など恋リア作品に関わってきたMEGUMIさんですが、今回は自身初となる恋リアのプロデュース業です。多忙なスケジュールの中で挑戦的な企画を動かすうえで、自分らしい働き方を意識したことがあったと語ります。
「以前は全部自分でやろうとして、疲弊して、機嫌悪くなって周りに迷惑をかけることもありました。結構、女の人とかって全部やって満足する生き物だから当然なんですが……でも、3年ぐらい前から“苦手なことはやらない”と決めてから、バランスが取れるようになったんです」
今回の企画でも、Netflixの制作チームを“プロ”として信頼しきったことが大きかったと言います。
「どうやって恋リアって作るのか全然わからなかったので、“どうしたらいいんですか?”って素直に聞きました。全部をわかろうとするのはそもそもおこがましいことですし、自分は“母体”だけをしっかり提示して。そこだけは自分の中で線を引いてやらせてもらって、少しずつ役目が見えてきたという感じです」



















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