「味は引くもの、手間は足すもの」
来店頻度を高めるために、はかたやが大切にしていることがある。
それは、「飽きない味」を提供することだ。
透明感のある豚骨スープに細麺、青ネギとチャーシュー2枚。無駄を削ぎ落としたシンプルな一杯に「うすい」と物足りなさを感じるひともいるかもしれない。しかし澄川社長の考えを聞くと、この“引き算”の意味が見えてくる。
「“おいしい”は自分で感じにいくもの。“おいしい食べ方”も自分で見つけるものなんです。完璧に完成してしまうと、食べるひとの感覚が引き出されなくなる」
「味は引くもの、手間は足すもの」
社長はゆっくりと、言葉を並べた。
「トマトの原産地は、水の少ないアンデス山脈です。その環境で生命力が引き出され、本来の味が凝縮されていきます。人間も同じです。おいしい炊き立てのご飯は、漬物のようなシンプルなおかずだけでも十分おいしく感じられる。それは、身体と五感が、おいしさを捕まえにいっているからです」
味を押しつけないことが、“おいしさ”を引き出すというのだ。完成度を上げすぎないことで、客が自分でおいしさを見つけにいく。その絶妙なバランスが、「また食べたい」というリピートにつながっている。
「食べておいしいけど飽きる味では、来店頻度も上がってこない。いつでも、何回も食べたいと思ってもらうためには、『味そのものよりも、おいしいと思える状態をどう作るか』なんです」
シンプルで飽きのこない一杯を支えるもうひとつの強みが「替え玉」だ。



















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