「49年ずっと290円」激安ラーメンチェーンが値上げしないのに「売上は右肩上がり」の訳→社長が語る《味は引き、手間は足す》驚きの経営論

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「昭和食品工業」という社名には、その理念が込められている。

この商売人家系の3代目になる澄川社長は1960年、福岡市に長男として生まれた。小学4年生くらいの頃、父は福岡市南区の田んぼが広がる何もない場所にドライブインのレストランを作った。「こんなところに誰も来ない」と言われるなか、「車社会が必ずくる」と切り開いた店は繁盛店となった。

大学卒業後、流通や小売りの現場で経験を積み、家業が手がける酒のディスカウント事業のフランチャイズ展開にも携わった。30歳を迎える頃、昭和食品工業に入社。2003年に正夫さんが亡くなった後、その志を引き継いで社長に就任した。

豚骨スープを作る様子
特注の設備で豚骨スープを作る(筆者撮影)

乾いた雑巾を絞る

店舗を工場のようにとらえ、作業手順を細かく設計し、誰が担当しても同じ品質とスピードで提供できるようにする。この「工場運営方式」こそが、三代にわたって培われた経営の土台であり、はかたやの290円を支える骨子となっている。

「トヨタ生産方式でいう“乾いた雑巾を絞れ”と同じです。物価が上がったからとすぐ値上げする前に、全員で知恵を出し切らなければいけないんです」

製造現場の改善思想を、飲食業に応用する。

麺もチャーシューも自社工場で製造し、メニューは素材を使い回せる構成にすることでフードロスを最小限に抑える。

「メニューを絞ることで作業がシンプルになり、スタッフが早期に熟練し、客席の回転も上がる。あとは教育と評価の仕組みを整えればいいんです」

自社工場で製造していた麺
自社工場で製造していた麺(筆者撮影)

「作業」そのものを減らすための設備開発にも積極的だ。

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