現代においても社会貢献意識を持つ富裕層は多い。筆者は大富豪になったことはないので想像するしかないが、人は莫大な富を得ただけでは人生は完成しないと感じるのかもしれない。今まで自分を支えてくれた周囲に還元したいとか、誰かの役に立ちたいとか、富があるからこそできる見返りを求めない支援活動に心惹かれるのではないか。
そういう社会貢献の意志をすくい取り、高額な寄付を通じて地方の自治体に還元できるのが、ふるさと納税というスキームだったはずだ。おりしも、強く呼びかけられているのが深刻化するクマ被害に苦しむ自治体への寄付だ。このような寄付を通じて、お金持ちが払うはずの税金が税収の足りない地方のために有効活用されるなら、まさに制度の理念にかなうはず。
国では行き届かないところに富裕層がお金を出してくれるというのに、何もそこに金額の制限をつける必要はあるのか。1億円でも2億円でも、どんどん寄付してもらえばいいと思うのだが――。
自治体が抱く懸念
10月以降のポイント付与の禁止という制度改正は、自治体にとっても懸念材料だろう。その結果がプラスと出るか、はたまた逆か、それはわからない。
彼らにとって最も避けたいのは、前年度より寄付額が減ることだ。「ポイント禁止」という強い否定の響きは、ふるさと納税利用者を後ろ向きにさせかねない。
それこそ上限を設けるなら控除額ではなく付与ポイント数だったのではなかったか。なお、禁止されたのはポータルサイトが付与するポイントで、カードやコード決済で支払った寄付金に対するポイントは対象外となっている。



















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