「インターネットというツールにより膨大な情報が溢れる中で、何を信じるか。それは自分が信用できると思える人、ライフスタイルに対する感覚が自分とフィットしている人からの情報です。また、東日本大震災以降、自分の住んでいる地域の中で子育てや仕事をする人が増えています。でも本当に大丈夫なのか。マンション購入検討者は、さまざまな点で”モヤモヤ”するのです。でも自分と似たようなライフステージに立ち、実際にその地域に暮らしている人の体験談を、直接顔を見て話を聞ける。だからこそ、この”モヤモヤ”を解消することができるのではないでしょうか」(幸田氏)。
マンション購入検討者は、目に見える情報だけでなく、目には見えない情報、つまりある種の空気感をポラリススタッフから受け取る。これがこのプロジェクトが「くらしのくうき」と名付けられたゆえんだ。
ポラリスからこのプロジェクトにかかわった女性は15人。うち、リーダーが5人。リーダーとそれ以外のメンバーはペアを組んで対応している。1人で対応すると、答えが独断になってしまうという配慮からだ。
地域の女性が得たプロとしての信頼
また、対応の記録は「日報」として保存。どんな質問があり、どう答えたかを、病院のカルテのように詳細に記録している。答えられなかった質問には、情報収集して次回に備える。回答のために作られた資料は、まるで地域の百科事典だ。シフトに入っている女性たちが互いの情報を共有する仕組みを作り、答え方、情報の信頼性などにも厳しいチェックを怠らない。一人ひとりの女性は素人でも、チームではプロとして仕事をこなすことで信頼を得ている。
当初、このサービスは4月中旬にスタートして、5月のゴールデンウィーク明けに終了する予定だった。ところが好評を受け、1カ月の延長が決まり、その後もさらに延長することになり、現在、2015年末までの実施が決まっている。吉村氏は「今や販売センターに不可欠なサービス」と言い切る。
地域で普通に暮らす女性たちの情報に価値を見出したポラリス、そして聖域とも呼べる営業のパートナーに、その地域の女性との協働を選択した三井不動産レジデンシャル、この両者をマッチングしたリクルートコミュニケーションズとリクルート住まいカンパニー。このプロジェクトは、立場の異なる3者が信頼関係を構築できたこと、そして何より互いの立場を尊重し合う対等な関係性が生まれたからこそ、成り立っている。既存の仕事にはない「創造」が、女性たちの今後に大きな可能性をもたらす事例だ。
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