「テレビは火事のことばかり」「つまり原因は何?」「その後どうなった?」 量産される《火事ニュース》に芽生えた"モヤモヤ"の正体

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前述したように、火事は人為災害の可能性が高いからこそ、個人への二次被害やプライバシーに配慮したうえで、原因や予防などの継続報道が重要。大震災の際はその後も節目などで報じられ、視聴者はよい方向への変化を感じられますが、火事はそのような報道がなかなか見られません。

インパクトがあり視聴率が見込める“発生時”だけでなく、その後の“予防できている状態”を報じようとしない番組の偏り。

「道路幅や街路樹などの延焼防止策」「大型防火水槽の設置」「防火訓練の啓発と工夫」などの地道な努力にスポットを当てないバランスの悪さも違和感につながっているのでしょう。

いまだ残る「現地や住民への配慮不足」

最後にもう1つ、火事をめぐる報道への違和感であげておきたいのは制作姿勢。

まず「火事で住民が混乱・憔悴し、消火・救助・確認・調査などが行われている現地に多くのメディアが押し寄せていいのか」。

さらに「ショックを受けている住民たちへのインタビューが多すぎるのではないか」「家などが燃える映像に人権やプライバシーの問題はないか」などの違和感が浮上します。

それ以外でもネット上には、「コメントの切り取り方が作為的ではないか」「このタイミングで街並みや名産の紹介は無神経ではないか」「なぜ必要な支援の呼びかけをしないのか」「防火につながる情報を紹介しないのか」などの違和感をあげる声もありました。

かつて震災や水害が発生したときにも批判されてきたことから、現在のスタッフが以前より配慮を重ねたうえで取材や撮影に臨んでいるのは間違いありません。

ただそれでも、「いい映像やコメントが撮れなければ来た意味がない」「放送の尺を埋めなければいけない」「他局の番組に負けていられない」という意識がいまだ強いことも確かでしょう。

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