「テレビは火事のことばかり」「つまり原因は何?」「その後どうなった?」 量産される《火事ニュース》に芽生えた"モヤモヤ"の正体
まず、なぜ火事は他の重要なニュースを押しのけてトップ扱いになるケースが多いのか。
前提としてあげなければいけないのは、報道機関としての使命。火事は地震や台風などと並ぶ重大な災害の1つであり、だからこそ大規模であるほどその扱いは大きくなりやすいところがあります。
実際に香港や大分の火事は規模が大きいため、地震や台風と同じように連日トップニュースで報じられました。
ただ、たとえ大規模でなくとも、火事は地震や台風などよりも、「視覚や聴覚へのインパクトが強い」ことがトップニュース扱いされやすい理由の1つ。
視覚は、炎や煙、家が燃えて屋根や壁が崩れ落ちる様子、住民が避難する姿、物々しい規制線、懸命な消火活動、無残な焼け跡など。聴覚は、家などが激しく燃える音、叫び声や落胆の声、消防車・救急車のサイレンなどがあり、どちらも視聴者を引きつけるような衝撃があります。
特にまだ鎮火していない状態での生中継は視聴者への訴求度が高く、トップニュース扱いされやすいポイント。ディレクターや現地放送局のアナウンサーではなく、全国放送されている報道・情報番組のメインキャスターやキー局のアナウンサーを現地に派遣するケースも見られます。
実際、大分の火事2日目に「news zero」(日本テレビ系)のメインキャスター・藤井貴彦さんと若手の並木雲楓アナウンサーが現場からリポートしていました。
“無力感”と“他人事感”が同居
ディレクター、キャスター、アナウンサーらが話を聞く住人たちの声は「全然、火が消えない」「この世の終わりみたい」「ぜんぶ燃えた」「ショックで一睡もできません」「先のことは考えられない」などの生々しいものばかり。
服装や所持品から急いで避難した様子がうかがえるほか、大規模火災では炊き出しや薬の緊急処方などが映されることも多く、現在進行形の苦境が映し出されています。



















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