「テレビは火事のことばかり」「つまり原因は何?」「その後どうなった?」 量産される《火事ニュース》に芽生えた"モヤモヤ"の正体
さらにそれらを「ただ見守ることしかできない」ような無力感と「対岸の火事」という他人事感の両方があることもポイントの1つ。
地震や台風ほど「自分の身にも起きるかもしれない」という感覚は大きくなく、心配しながらも野次馬のような感覚があることが、トップニュース扱いされやすい背景となっています。
これはつまり、視聴者にとって火事は「臨場感がありながらも、地震や台風よりは他人事で、目を背けるまでの映像ではないケースが多い」ということ。そのような違いが報道の意義だけでなく、視聴率獲得につながりやすいため、扱いが大きい背景となっています。
火事の「その後」はあまり報道されない
ただ、視聴者が火事の報道を見て違和感を覚えるのは、地震や台風などとの感覚的な違いだけではありません。
地震や台風、落雷や雪崩、竜巻や津波、がけ崩れや土石流などが自然災害であるのに対して、火事の多くは人為災害。発生のベースが異なるにもかかわらず同列のように報じられるため、視聴者は違和感を覚えやすいのでしょう。
「火事」と聞くと、過失や故意の有無を思い浮かべるなど、「事故ではなく事件」というニュアンスが強いのではないでしょうか。
しかし、大規模火災にかかわる報道では、その原因が不明というケースが多く、過失や故意の有無が報じられるケースもそれほどありません。
元消防庁の職員や専門性の高い大学教授などにコメントを求めるものの、過去のケースを参考にしつつ「家と家の間隔や道幅が狭い」「強風や乾燥」「消防機材の整備不足」「初期消火の失敗」などの延焼した理由にとどめ、のちに何らかの事実が判明しても続報は「なし」か「ほぼひと言のみ」で終わるケースが多くを占めています。



















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