しかし、その「ズレ」がじわじわと妻のストレスになり、ある夜に爆発してしまった。その後は根気よく対話を重ねることでズレを解消していき、スムーズに家事・育児を分担できるようになっていった。
育児は「手伝いじゃない。あなたの仕事だ」
本来は「産後に妻が夫にやってほしいこと」を事前にリスト化できるとよいが、実際には始まってみないとわからないことも多い。先述の幡生さんの行動は妻のニーズに合わなかったが、人によっては「そうしてくれると助かる」と感じる家庭もあるだろう。
「妻も初めての出産で、お互い産後にどんな生活が待っているのか想像できなかった。さらに、産後は肉体的にも精神的にも余裕はないので『こういうことをやってほしい』と妻側から毎回言うのもしんどいですよね」
幡生さんの場合、夫婦関係が悪化する前に一歩踏み込んだコミュニケーションを取れたことで、危機を乗り越えることができた。育児はスキル云々よりも、まずは意見が異なった時に対話をしようとする姿勢がないと、そもそも成り立たないことがわかるエピソードだ。
長男が3歳になる頃、社内で育児に関するセミナーを受ける機会があった。そこで出合った「育児はヘルプじゃない、シェアだ」という言葉が心に刺さったという。妻とすれ違った経験とこの概念は、幡生さんの育児に対する方向性を決定づけることになった。
「たまに『俺、育児を手伝っています!』って言う男性もいますけど、そもそも育児は手伝うものではなく、あなたの仕事だよと思います。育児は24時間続いていくものなんだから、『育児担当は奥さん』じゃなくて、そこを夫婦でしっかりシェアするのは当たり前なんです」



















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