脂肪燃焼を促す、血管を丈夫にする、がん予防、シミの原因を分解…注目の筋肉成分「マイオカイン」がもたらす全身へのすごい健康効果

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マイオカインは良いものだけではありません。

運動不足が続いたり、歳をとったりすると分泌される悪いマイオカインもあるのです。そして、そのなかには筋肉を壊して萎縮させたり、内臓の働きを悪くしたりするものもあります。

「分泌臓器」だった筋肉

まさに今、研究が進んでいるところですが、歳をとると体力が衰えて、いろいろな病気になりやすくなるのも、元をたどれば筋肉が弱って、いわゆる善玉のマイオカインが出にくくなり、悪玉のマイオカインが出やすくなることも一因かもしれません。

筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン (中公新書 2878)
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いずれにせよ、筋肉は分泌臓器として働き、良くも悪くも筋肉自身の状態を全身に向けてメッセージを送っていることがわかってきました。

このように、筋肉は収縮を繰り返して身体を動かす働きだけでなく、栄養素を取り込んで消費する代謝臓器としての働きや、マイオカインを放出する分泌臓器としての働きがあります。筋肉は他の臓器とうまくコミュニケーションをとりながら、体力や健康を支えているのです。

近年、マイオカインをはじめとする筋肉の働きが続々と明らかになり、スポーツ科学はもちろん、医学、薬学、農学など、いくつもの科学分野が筋肉を研究対象としています。

製薬会社は筋肉の代謝能力や分泌能力を高める薬の開発を手掛け、農業・食品会社では機能性食品やサプリメントの開発に乗り出しています。

筋肉はいま、健康にかかわる科学と産業の中心的存在になったといっても過言ではないでしょう。

青井 渉 京都府立大学准教授

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あおい わたる / Wataru Aoi

1975年愛媛県生まれ。1998年京都府立大学卒業。2000年筑波大学大学院修了。2005年京都府立医科大学大学院医学研究科修了(医学博士)。08年京都府立大学大学院助教、14年スウェーデン・カロリンスカ研究所客員助教授を経て、17年より京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授。専門は運動栄養学。11年米国スポーツ医学会若手研究者賞受賞、21年日本抗加齢医学会研究奨励賞受賞。著書に『筋ホルモン マイオカインの威力』。

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