脂肪燃焼を促す、血管を丈夫にする、がん予防、シミの原因を分解…注目の筋肉成分「マイオカイン」がもたらす全身へのすごい健康効果
歳をとって太りやすくなることにも筋肉が関係します。
加齢とともに筋肉の代謝能力が弱ってきたり、萎縮して細くなると、血液中の糖と脂肪を消費するスピードが遅くなります。そのため、運動不足のときと同じように、筋肉で処理しきれずに余ってしまい、同じように体脂肪となってしまいます。
体脂肪が過剰に蓄積すると、糖尿病や心臓病などさまざまな健康障害のリスクが高まります。
筋肉の代謝能力が弱ると、もう1つの悪い症状である高血糖が起こります。
食事をすると、速やかに血液中に糖が吸収され、血糖値が上昇します。その後、筋肉などで消費されることで、血糖値は元の値に戻ります。しかし、筋肉の代謝が悪くなると、食後に高まった血糖が消費されずに、血液中に長時間居続けるのです。
血糖は全身の細胞のエネルギー源として不可欠な物質ですが、高い状態が続くと、触れ合った細胞と糖化という障害性の反応を起こします。この反応が起こると、細胞内のさまざまな機能が悪くなり、病気や老化を促進する原因になると考えられています。
一方、筋肉を動かすと血液中の糖が筋肉中に取り込まれるため、血糖値が下がっていきます。例えば、食後に寝っころがらずに、少しでも体を動かすだけで筋肉に糖が取り込まれて、糖化を防ぐことができるのです。
このように、筋肉は肥満や高血糖を防ぐ役割を持つ代謝臓器として働きます。同じものを食べても、身体活動のエネルギー源として有効利用できるのか、肥満や高血糖を誘発して健康障害につながるのかは、筋肉の代謝能力に依存するともいえるでしょう。
生理活性物質「マイオカイン」とは?
近年、筋肉は「マイオカイン」という物質を分泌する働きがあることがわかってきました。マイオカイン=Myokineとは、筋肉細胞Myocyteと、分泌性生理活性物質Cytokineを組み合わせて作られた造語です。
もともと、分泌物質は「ホルモン」と呼ばれ、脳や神経、副腎、生殖器などから血液中に分泌されるものと考えられてきました。
例えば性ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンは、体の発育や性差に深く関係しています。ホルモンとそれを受け取る細胞は、鍵と鍵穴の関係といわれ、ホルモンは鍵穴を持った特定の細胞だけに働きかけ、さまざまな効果を発揮します。



















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