北海道でのウイスキー製造からコンビニポテチまで——ホリエモンが食と酒で挑戦し続ける理由。世界で勝つための「高級と大衆」2つのブランド論
僕たちは酒だけでなく、いろいろなプロダクトをプロデュースしている。その一つがポテチだ。
「WAGYUMAFIAが作ったポテトチップス?」、最初は驚いた人もいるかもしれない。高級和牛のカツサンドや、海外セレブが通うことで知られるWAGYUMAFIAが、コンビニで買えるポテチを監修するなんて。
でも、それこそが僕たちの狙いだった。ブランドって、ただ高級である必要はない。むしろ、「どれだけ広く、深く、人の記憶に残るか」が本質だと思っている。
だから僕たちは、WAGYUMAFIAというラグジュアリーなブランドを、あえてポテチという〈誰でも買えるもの〉に落とし込んだ。
ポテチが好きな人は多いだろう。僕も子どもの頃、カルビーのポテトチップスは月に一度のお楽しみだった。
前回記事にも書いたが、母親の実家が農家だったので、みかんやイチゴ、スイカなど季節のフルーツはふんだんに食べさせてもらっていたけれど、当時の僕にとっての〈ごちそう〉はむしろジャンキーな食べ物に分類され、食べることを月に一度に制限されていたポテトチップスだった。
袋を開ける瞬間のワクワク感はいまでも忘れられない。
それから時が経ち、今度は自分たちがファミリーマート全店で販売されるポテチをプロデュースすることになった。製造は「わさビーフ」で有名な山芳製菓さん。和牛エキスとガーリックパウダーをふんだんに使い、袋を開けた瞬間に広がるにんにくのインパクトある香りが特徴だ。
なかでもこだわったのはパッケージだ。ラグジュアリーホテルのスナックコーナーに置いても違和感がないように、あえて説明ゼロ、ただ「ULTRA GARLIC」とだけ書かれた極限までミニマルなデザインにした。コンビニの棚でも、逆に目立つはずだ。
高級店にいきなり入るのはハードルが高い。でもポテチなら、コンビニで手に取れる。SNSでバズっていれば、気軽に試せる。そうした〈偶然の出会い〉が、WAGYUMAFIAの世界観をじわじわと浸透させていく──これこそが、食のマーケティングで最も大切な導線設計だと僕は考えている。
「安い商品はブランドを壊す」と言う人もいるけれど、それは違う。むしろ、「どんな価格帯の商品でも、そのブランドの記憶を残せるか」こそが、本当のブランド力だと思う。
だから僕たちは、パッケージも味もSNSで話題になるよう仕掛けを入れた。結果、「あのポテチ、どこで買えるの?」という会話が生まれ、WAGYUMAFIAというブランドが〈遠い存在〉から〈気になる存在〉へと変わっていった。
コラボ商品は次々に広がる
実際、このULTRA GARLICは発売してファミリーマートの棚に並ぶとまたたくまに消えるほど爆発的に売れ、何度も再販売をしている。
この取り組みは他企業にも注目してもらえることになり、2023年には「ULTRA ペヤング」として、あのペヤングとのコラボ焼きそばが登場。ガーリックマシマシで、にんにく好きにはたまらない仕上がりになった。
2025年には、北陸製菓名物スナックの「ビーバー」とコラボした「SALT & VINEGAR ビーバー」も登場。海外では定番のソルト&ビネガー味を、日本人の舌に合うように再設計したチャレンジングな一品だ。
ブランドとは、誰かの記憶に残ってこそ意味がある。そして、「記憶に残る食体験」は、食というエンタメの本質だ。
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