人口減少に立ち向かうためのアイデアは「定住」と「交流」の間にあった。管理社会から人を自由にする「関係人口」論

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高橋:おっしゃるとおり、振り返れば全部がつながっていると思います。これまで僕は岩手県議やNPO法人、一般社団法人から株式会社もやってきて、最近はIPOも果たしました。なぜこういう経歴になったかというと、そのときどきで、自分の心のコンパスが振れるほうへ何も考えずに突っ込み続けてきたからです。子どものように、好きなことだけやっていたら、たまたまここにたどり着いたというのが本当のところです。

現在は代表を務める会社「雨風太陽」で、親子地方留学プログラムなどの支援や、「ポケットマルシェ」という産直アプリの運営などを通じて、地方と都市をつなぐさまざまな取り組みを行なっています。

生産者を訪問する高橋さん
生産者を訪問する高橋さん。農業から漁業まで、携わる人たちと幅広く交流している(本人提供)

おいしいものを探すことが、地方と関わるきっかけに

窪田:農業生産者を紹介し、農作物が定期的に届く情報誌の発行もされていますね。私は人生の半分ぐらいをアメリカで過ごしてきたのですが、最終的に日本に帰国することを決めた理由は「食」だったんです。治安など、日本の魅力はいろいろありますが、私にとっての一番はやっぱり日本食でした。こんなにおいしくて多様な食材に触れることができる国は貴重だと思います。一度生産が絶えてしまうと、それを取り戻すのはものすごく大変ですよね。生産者と個人を結びつける仕組みを作ることで、少量多品種を絶滅から守れることにも感動しています。

高橋:そうなんです! 一度失ってしまえば、その再生は本当に難しくなります。

都市で暮らす人たちには、盆暮れに帰る先がないという「ふるさと難民」がすごく増えています。でも、知らない土地と関わるには、何かの理由や後押しが必要ですよね。僕が事業として提供しているのはそのきっかけ。「おいしいものを探す」ことをきっかけに、その生産者を知り、子どもを連れて行って収穫体験をさせるなどの関わりも生まれたらいいなと。

窪田:すばらしいですね。農業のソリューションは大規模化や機械化しかないというような言説を聞いて、そんなものなのかなあと思っていました。でもクリエイティブな考え方をすれば、また違った方法で、それぞれの個性を保って存続することもできうるのですね。

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