高橋:それまで、地方の人口には「交流人口」と「定住人口」の2つしかありませんでした。前者は一度きりの観光客もカウントされますが、すぐにいなくなってしまう人たちなので、彼らによって地域の力を底上げするのは難しい。後者を増やすために必要なのは移住ですが、総人口が減っていく中では人の奪い合いになってしまいます。この2つの間に位置する人たち――移住はできなくても、定期的に行って関わることはできる人たちが実はたくさんいるんだと、被災地で気が付いたんです。住んでいる人が減っても、関わる人が増えれば地域社会の活力は維持できるんじゃないかと。関係する人たちなんだから、じゃあ「関係人口」だと言い始めたのがスタートです。
高橋:日本の総人口は定常的に減っていきます。しかも都市に人が偏在し、地方の過疎が進むという二極化が起きている。今後は限られた人材を、地方と都市でシェアしていく考え方が必要です。最初は国も自治体も「何だ、関係人口って」という感じでしたが、この発想が徐々に理解され、地方創生の施策として語られるようになりました。
寝言も言い続ければ現実になるというか(笑)、今では多くの方に知っていただける言葉になったんです。
窪田:私はこれまで都市にしか住んだことがないのですが、周囲には長期にわたって被災地のボランティアを続けている人もいます。自分の故郷でもないところにコミットして、毎週末移動して活動している人は本当にすごいと思います。どういう人たちがどういうモチベーションで続けているのかを知りたいと考えていました。
自分の内から湧き上がってくるものがある
高橋:とくに被災地は、すべてが流されてしまったり壊れてしまったりしていて、いわば創造的なスペースが生まれる場でもあると思います。余力があり、生きるリアリティを追求するような人たちにとっては、自分の内からいろいろなものが湧き上がってくる状況なのかもしれません。
窪田:個人ができる小さなことや、1人ひとりの思いが結集して大きなパワーになるのでしょうね。日本の底力はきっとそういうところにあり、それを生み出すのが関係人口なんだと思います。高橋さんがそこにフォーカスできたのは、行政やビジネスの経験など、さまざまなバックグラウンドが生きているからでしょうか。




















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