自室のベッドに仰向けに寝て、天井を眺めながら考える。
きっと速水先輩は、最初のうちは朝日堂で本を購入していたのだろう。そして親父の信頼を得たところで、グループで万引きを始めたのだ。親父の信頼を裏切る速水先輩を、浩一は余計に許せなかった。
なぜ動機ファイルを止めたのか
スマホを手に取り、ダメ元で再び子供部屋同盟にアクセスしてみる。
と、通信欄に一通のDMが届いていた。差出人は万次郎ではなく、弥太郎と表記されている。
──42番君、動機ファイルをありがとう。実は今回の件では、万次郎の不正が発覚してね。奴が独断で動機ファイルを同盟内に回さず、自分のところで止めていたことが判明した。
──君の動機を読んで、俺はこの案件を成立させたいと思っている。というのも俺の実家はかつて書店をやっていてね。ちょうど朝日堂みたいな町の本屋さ。そして俺も君と同じように、実家の本屋でたくさんの素晴らしい本に出会った。
──でも実家の本屋は、俺が小学六年のころに地上げ屋に潰されてしまってね。悪に潰されるという点で、状況は君と同じだ。動機を読んでいて、とても他人事(ひとごと)には思えなくなった。
──しかも今回の案件は、俺のスキルで解決できる。このDMを読んだら、ぜひとも俺宛てに連絡して欲しい。
浩一はさっそく弥太郎に返信をした。弥太郎は通信部のチャットルームに来て欲しいという。言われた通りチャットルームに入ると、すでに弥太郎はオンラインになっていた。
──初めまして、42番君。俺が子供部屋同盟・監査部の弥太郎だ。
──初めまして弥太郎さん。どうして万次郎さんは僕のレポートを手元で止めたんでしょうか?
──それは俺にも分からん。奴もチャットルームに呼んである。なぜ動機ファイルを止めたのか、二人で追及しようじゃないか。
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