「寝る間を惜しんで働く」リーダーが、AI時代に"最も生産性が低い"と断言できる理由

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私が在籍していたサイバーエージェントの藤田晋社長も、起業直後の激務のなかでも最低6時間は睡眠をとるようにしていたと語っています。成長企業の経営者たちが「睡眠」を重視するのは、このメカニズムを経験則として知っているからです。

彼らは、自分の仕事が「決断」であることを理解しており、その質を落とさないために、睡眠というメンテナンスを徹底しているのです。

そしてこの話は、経営者や管理職だけの問題ではありません。AI時代においては、一般社員であっても「一人ひとりがAIに対するリーダー」として振る舞うことになります

これまでは数日かけて資料を作っていた時間が、AIを使えば数分に短縮されます。その分、あなたはAIが出してきた複数のアウトプットに対して、「これは目的に合致しているか?」「修正すべき点はどこか?」「このまま提出していいか?」という判断を、1日に何度も繰り返すことになります。

いわば、誰もがこれまでの数倍の密度の「決断の雨」を浴び続けることになるのです。

この状況下で睡眠をおろそかにすることは、弾薬を持たずに戦場に出るのと同じです。AIという武器があるのに、すぐに「決断疲れ」を起こし、AIのアウトプットを適切に評価できなくなります。そうして低品質な仕事を続けてしまうことになりかねません。

「寝る」ことは、サボりではなく「仕事」である

AI時代において、「寝ずに頑張る」は美徳ではありません。それは「自分のコンディション管理ができず、判断ミスというリスクを組織に撒き散らす行為」です。

明日から、睡眠を単なる「休息」と捉えるのをやめましょう。睡眠は、決断の質を高め、AIという強力な部下を使いこなすための「重要な仕事」です

医学的にも、脳の疲労や自律神経の疲れを根本的に回復させる方法は「睡眠」しかないと言われています。AIにはできない「責任ある決断」を、クリアな頭脳で次々と下していくことが、これからの時代に求められるリーダーシップです。

良質な睡眠をとることは、私たちがAIに負けずに価値を発揮し続けるための、最も基本的かつ強力な戦略なのです。

三浦 慶介 株式会社グロースドライバー代表取締役社長

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みうら けいすけ / Keisuke Miura

1983年生まれ。一橋大学法学部卒業。サイバーエージェント、リヴァンプ、グロース上場企業スパイダープラスのCMOを経て2025年に独立。ゲーム・小売・飲食・教育・建設Techなど幅広い業界で事業成長を牽引。会員数150万を超えるヒットゲームの開発、数百万人が利用するCRMアプリの企画・開発、年間数十億円を運用するマーケティングチームの内製化、1年で生産性を160%改善する営業改革など、業種・業界を問わない事業成果を実現。現在は「AI時代の人材育成×事業戦略」を専門に、事業成長の伴走支援と知見の体系化に取り組む。著書に『AI時代に仕事と呼べるもの』(東洋経済新報社)がある。

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