なぜブッダのロジックとザラスシュトラの物語は3000年残ったのか? 世界を変えた「コンセプト設計」の秘密
宗教の成功の裏には、教祖による緻密な「コンセプト設計」があった(写真:por/PIXTA)
ビジネスにおいて、優れたコンセプトは、時代を超えて人々の心をつかみ、行動を変容させる力を持っている。
その意味で、数千年にわたり、数億人以上の信者を獲得し続けている宗教は、まさに究極のロングセラー商品と言える。その成功の裏には、教祖による緻密な「コンセプト設計」があった。
尾登雄平氏の新刊『教祖の履歴書』では、「宗教の始まり」と「企業の設立」は性質が似ているという視点から、宗教史における二人の「プロダクト・デザイナー」の存在を明らかにする。仏教の開祖ブッダと、ゾロアスター教の開祖ザラスシュトラである。
今回は同書から一部抜粋・再構成のうえ、3000年以上も風化しないキラー・コンセプトがいかにして作られたのか、その対照的な設計思想を解説する。
タイプ1:ブッダ(仏教)――苦しみをハックする究極のフレームワーク
まず、仏教の創業者ブッダのアプローチから見ていきましょう。彼のコンセプト設計の特徴は、徹頭徹尾ロジカルであることにあります。
ブッダことゴータマ・シッダールタは、シャカ国の王子として生まれました。何不自由ない生活を送っていましたが、彼は城の外で老人、病人、死者を目撃し、「生・老・病・死」という人間が避けられない運命に衝撃を受けます。
ブッダが取り組んだ課題(ユーザー・ペイン)は明確です。「なぜ人間は思い通りにならない人生に苦しまなければならないのか、どうすればそこから逃れられるのか」という一点でした。
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