なぜブッダのロジックとザラスシュトラの物語は3000年残ったのか? 世界を変えた「コンセプト設計」の秘密

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった後の世界宗教は、こぞってこの「天国と地獄」「救世主」「最後の審判」というコンセプトを取り入れました。現代の私たちが映画や小説で楽しんでいる「正義が悪を倒す」というストーリーの原型も、元をたどればザラスシュトラの発明に行き着くのです。

彼の教団は消えかけても、彼が設計した物語は、3000年経った今も人類の思考の根底で稼働し続けているのです。

人を動かす「二つの極意」

ブッダとザラスシュトラ。二人の成功は、人を動かすには「納得(ロジック)」や「熱狂(物語)」が必要であることを教えてくれます。

• ブッダ型: ユーザーの課題を因果関係で分解し、再現性のある解決策を提示する「課題解決型」。機能的価値で信頼を勝ち取る。
• ザラスシュトラ型: ユーザーを壮大な世界観(善悪の戦い)に巻き込み、生きる意味を与える「ビジョン提示型」。情緒的価値で熱狂を生む。

これは、現代のビジネスにおけるプレゼンテーションや企画、あるいはチームマネジメントにおいても全く同じことが言えるでしょう。相手を動かすために必要なのは、緻密な「論理」なのか、それとも心を揺さぶる「ビジョン」なのか。

数千年の風雪に耐えた彼らの戦略は、企画書一枚、メール一通をとっても、私たちが「何を伝えるべきか」を深く考え直すきっかけを与えてくれるはずです。

尾登 雄平 歴史キュレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おとう ゆうへい / Yuhei Otou

1984年福岡県生まれ。経済系出版社に勤務する傍ら、世界史の面白いネタを収集・解説するnoteとYouTubeを運営。歴史ライターとしても活動し、ビジネス雑誌、歴史メディア、企業オウンドメディア、会報誌などに寄稿する。著書に『あなたの教養レベルを劇的に上げる 驚きの世界史』(KADOKAWA)、『激動のビジネストレンドを俯瞰する「働き方改革」の人類史』(イースト・プレス)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事