なぜブッダのロジックとザラスシュトラの物語は3000年残ったのか? 世界を変えた「コンセプト設計」の秘密
このコンセプトの強さは、ブッダの「最初の営業活動」のエピソードに表れています。ブッダは悟りを開いた後、かつて一緒に苦行をし、ブッダが苦行を放棄した際に「あいつは堕落した」と見限って去っていった5人の元修行仲間を訪ねました。
最初、彼らはブッダを無視しようとしましたが、自信に満ちたブッダの姿に圧倒され、話を聞くことになります。ここでブッダは、「俺はすごい悟りを得たぞ」と感情的に訴えるのではなく、前述の「四諦」と「八正道」の理屈を、時間をかけて丁寧にプレゼンしました。
かつての仲間たちは、その精緻な論理構造に反論できず、一人、また一人と納得し、最終的に全員が弟子となりました。ブッダの教えが3000年残った理由は、この「機能的価値」の高さにあります。「こうすれば、こうなる」という再現性のあるメソッドだったからこそ、多くのインテリ層や実務家たちに支持されたのです。
タイプ2:ザラスシュトラ(ゾロアスター教)――人類初の「物語」発明
一方、ブッダよりも数百年〜1000年ほど前に活動したとされる、ゾロアスター教の開祖ザラスシュトラのアプローチは全く異なります。彼はロジックではなく、「物語(ナラティブ)」の力で世界を変えました。
ザラスシュトラは、原始アーリヤ人の神官階級に生まれながら、20歳で家出し、30歳で神の啓示を受けるまで放浪生活を送りました。彼が生きた古代社会もまた、理不尽な略奪や暴力に満ちていました。



















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