なぜブッダのロジックとザラスシュトラの物語は3000年残ったのか? 世界を変えた「コンセプト設計」の秘密

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彼はこの課題に対し、当時のインドで主流だった苦行(肉体を痛めつけること)を徹底的に試しました。断食をしたり、呼吸を止めたりといった極端な修行を6年間も続け、骨と皮だけになるまで自分を追い込みました。

しかし、彼は気づきます。「身体を痛めつけても、苦しみは解決しない」。この手法は無意味であると断じ、スジャータという娘から乳粥の施しを受けて体力を回復させ、独自の瞑想に入ります。

そこで彼が開発したのが、「四諦(したい)」と「八正道(はっしょうどう)」という、現代のコンサルタントも顔負けのロジカルな「課題解決フレームワーク」でした。

課題の「因果関係」をロジカルに分解

ブッダが菩提樹の下で発見した思考プロセスは、驚くほどシステマチックです。

1. 課題の定義(苦諦): 人生は思い通りにならない「苦」であると認める。
2. 原因の分析(集諦): その苦しみの原因は、執着や渇望(煩悩)にあると特定する。
3. ゴールの設定(滅諦): 執着を捨て去れば、苦しみは消滅すると定義する。
4. 解決策の提示(道諦): そのための具体的な実践方法が「八正道(正しい見方、正しい思考、正しい言葉…)」である。

これは、「神秘的な力で救います」という宗教的な救済というよりは、「原因(執着)を取り除けば結果(苦)が変わる」という「因果の理法」に基づいた、極めて科学的なアプローチです。

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