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ライフ #増補新版 女ふたり、暮らしています。

けんかもする。でも、ひとりよりずっと楽しくて豊か──。《シングルでも結婚でもない"女ふたり暮らし"》韓国発エッセイが示す新しい家族像

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そうやって大事に守ってきたキム・ハナの空間を、私がどっと注文した本の山が侵食することになる。

ところが、私の無秩序な本の山が効果を発揮する時がやってきた。キム・ハナがポッドキャスト番組「チェキラウト」の進行を任され、新刊本をセレクトして紹介するようになったのだ。

注文した本が届いたら開梱してリビングの隅に積んでおくと、いつの間にかキム・ハナが1冊ずつ持っていって読んでいる。まじめな読書家でハマりやすい性格のキム・ハナは、いい本に出会うと誠心誠意熱中する。

キム・ハナは手軽に新刊本に触れられる供給元を確保し、私は私で関心のある本を買っておけば、優秀な専属ブックレビュアーが先に読んで論評してくれる。買う本の数は変わらないのに、私は前よりたくさん本を読んでいる。

「違い」があるからこそ

相似点が人を互いに引きつけ合い、相違点が互いの間を埋めてくれる。私とよく似た人がこの世に存在したとして、果たしてその人と私はよい同居人になり得ただろうか。

きっと、心の奥底で理解しながらうんざりし、逃げ出していたに違いない。キム・ハナと暮らしながら私は、少し物欲が減り、いくらか整頓できるようになり、ちょっと気が長くなった(と信じたい)。

私がキム・ハナに対して感じているように、こんなに違う私と一緒に暮らしてよかったと思う瞬間が、キム・ハナにもときどき訪れるといいなと思う。

果肉がぎっしり詰まった丸っこい陸宝(ユッポ)とか、甘酸っぱい香りのバランスがいい竹香(チュクヒャン)とかいう新しいイチゴの品種を知ったり、チキンを一緒に食べる時に私が好きなモモ肉、キム・ハナが好きな手羽先とせせりを自然に譲り合って食べたりしながら、小さな余白が埋められていくように。

(翻訳/清水 知佐子)

【あわせて読む】帰宅したら死んでいた猫、今も消えぬ喪失感。《韓国の人気エッセイが綴るペットとの暮らし》。いつかは別れの日が来るとわかっていてもーー
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