だが、婚活は順調には進まなかった。お見合いで出会い、仮交際に進む女性は現れるのだが、女性に好感を抱けば抱くほど失恋の怖さが蘇ってくる――。臆病になって前に進めない自分がいた。
そんななかで、あや(38歳、仮名)に出会った。年上だけに落ち着いていて、大きく受け止めてくれるような器の大きさがあった。隣にいると心がふっと安らぐ。彼は気づけば、仕事中でもあやのことを考えるようになっていた。
しかし、気持ちが大きくなるほどに、振られる恐怖も押し寄せてくる。ある日の面談でそう打ち明けてきたただしに、筆者は言った。
「好きな人に振られるのは誰でも怖い。そう感じるのは、本気で向き合っている証拠ですよ。傷つくことを恐れていたら、一生前に進めません。もっと自分を信じて一歩踏み出してみてくださいね」
その言葉が背中を押したのか、彼は数日後、あやに気持ちを告白した。
「真剣交際に入ってくれませんか」
震える声で言うと、あやはほほ笑みながら静かにうなずいたという。その後2人は真剣交際に進み、時間を重ねるごとに、彼は愛し、愛される安心感を感じるようになった。
そして迎えた成婚退会の日、彼が照れくさそうに筆者に話してくれた。
「先日、彼女に言ったんです。『僕を選んでくれてありがとう』って。そうしたら、あやさんが優しく抱きしめてくれました」
仲人をしていると痛感するのは、 恋愛初心者ほど人を好きになる気持ちに純真で、相手を大切にする姿勢がまっすぐだということだ。だからこそ、結婚も決まりやすい。
大切なのは、完璧な自信でも、経験値でもない。 傷つくことを恐れながらも、それを乗り越え踏み出す勇気なのだ。
恋愛下手な女性の心をつかむ
りょうこ(45歳、仮名)は20代の頃から母ひとり娘ひとりで暮らしてきた。10年ほど前からは病弱な母の介護をしながら、働き続けてきた。そんな環境だったので、結婚はどこか遠い世界の話だと思っていた。
その母も半年前に先立ち、1人になってみると、心にぽかんと穴が空いたような気持ちになった。「このまま1人で歳をとっていくのは寂しい」と、相談所の門を叩いた。
ただ、長く家庭を支えてきた人たちに共通しているのは、自分を後回しにするくせだ。お見合いをしても、相手を気遣うあまり、自分の希望をのみ込みすぎてしまうし、仮交際に進んだ男性との会話でも、つい相手のペースに合わせて疲れてしまう。



















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