「選んでくれてありがとう」「一緒に幸せに」。結局、"条件"でも"見た目"でもなかった――婚活で「幸せをつかんだ」男女に共通する特徴

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結婚相談所の仮交際では、ほかの人と会うこともできるし、別の相手とのお見合いも続けられる。まさゆきは3度目のデートの帰り道に、「彼女をほかの男性に渡したくない」と強く思った。

そこで、勇気を振り絞って言った。

「僕はさとえさんと真剣交際に進みたいと思っています。答えは今じゃなくていいので、この先の僕も見ていってくれませんか?」

するとさとえは、驚きと戸惑いと少しの不安が混じったような顔をした。まさゆきは、一瞬、“断られるのか”と思った。

さとえは「実は、伝えておかないといけないことがあって……」と、静かに話し出した。

彼女には幼い頃から父がいなかった。母と、障害がある弟と3人で生きてきた。母は強い人で、働きながら子どもたちを守り育ててくれた。その姿を見てきた。

「母が先に亡くなったら、弟の面倒は私が見ることになる。それが、まさゆきさんの負担になるんじゃないかと思うんです。そもそもこんな条件の私と結婚してくれる男性がいるのかなって」

そう言った声が少し震えていた。

それを聞いたまさゆきは、静かに、けれども力強く言った。

「結婚するというのは、さとえさんの家族も含めて、僕の家族になるということ。弟さんのことも、一緒に考えていきたいです」

その言葉にさとえは涙し、真剣交際を受け入れた。そして2人は1カ月後に結婚を決めて、成婚退会をしていった。結婚を決めるときの覚悟は派手な決意表明ではなく、こうした静かな受容の中に宿るという心温まる例だ。

恋愛初心者だからこそ

ただし(34歳、仮名)は、学生時代に恋愛経験がないまま社会に出た。メーカーに就職し、覚えるべき仕事の多さに追われる日々が続き、気づけば30歳を過ぎていた。家と会社の往復だけで1日が終わる。

「このままでは、生涯独身かもしれない」

そんな不安が胸をよぎり、思い切って始めたのがゴルフスクールだった。そのスクールで出会ったレッスンプロの女性に、彼は初めて“恋”と呼べる気持ちを抱いた。会うたび胸が高鳴り、会える時間が待ち遠しくなった。

そしてある日、勇気を振り絞り告白したのだが、「生徒とは個人的に連絡を取ってはいけない規則になっています」ときっぱり断られてしまった。

初めての失恋。彼の中に深く痛みが刺さった。それでも「誰かと人生を歩みたい」という思いは捨てきれず、筆者の相談所を尋ね、入会をした。

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