「Fラン大卒より高卒」企業人事部が断言する"定着率"と"成長力"の明確な差

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ここで問題は、製造業です。製造業では、2025年度の新卒採用計画がある事業所のうち高卒の採用予定がある割合が74%に上りました(厚生労働省「労働経済動向調査」)。しかし、多くの製造業者が高卒の採用で以下のような問題に直面しています。

・採用の難易度が上昇

2024年5月時点で高校の工業学科の生徒数は19万9712人で、年々減り続けています(文部科学省「学校基本調査)。

「優秀な工業高校卒を各社が奪い合う状況で、採用の難易度がここ数年で飛躍的に上がっています」(部品)

・離職率が高い

七五三(入社後3年以内に中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割が離職する)と言われる通り、高卒は大卒と比べて離職率の高さが顕著です。

「採用し、手塩にかけて教育しても、すぐに辞めます。高卒は賃金が安いといっても、教育コストなどを考えるとお得感はそんなにありません」(食品)

・業務の高度化への対応

製造現場でも業務のIT化などが急速に進んでおり、必要な業務知識が高度化しています。

「工業高校のカリキュラムが機械系に偏っており、新人はおしなべてIT系が弱い。入社後、1年近くも導入研修を行っており、大きな負担になっています」(機械)

また、興味深いところでは、「選ばなければ誰でも進学できるこの時代に高卒で就職する背景には、金銭や家族関係など何らかの問題を抱えていることが多く、注意が必要と考えています」(素材)という指摘がありました。

大卒の現場作業員が増える?

こうした困難な状況に、製造業はどう対応しているのでしょうか。多くの製造業者が、製造現場での人手不足に対応するために、業務の自動化、非中核業務のアウトソーシング、非正規労働者の採用、外国人労働者の採用などに取り組んでいます。

しかし、「だいたいのことに取り組んでいますが、現場作業員の要員数を確保するには至っていません。焼け石に水です」(建機・部品など)というコメントの通り、問題解決にはほど遠い状態です。

となると、打つ手なしで、国内で製造拠点を維持するのは難しくなり、1990年代から2000年代初頭に起こったように製造拠点の海外移転が再び視野に入ってきそうです。

ただ、その前に大卒を現場作業員として採用することはできないものか、という質問に対し、賛否両論がありました。

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