「AI vs. 人柄のよい上司」この先必要とされるのはどちらか

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AIは膨大なデータから最適解を提案できます。しかし、その決断によって生じる摩擦や責任を負うことはできません。

例えば、前述の問題社員のケース。その社員の数字には表れない勤務態度、周囲への細かな悪影響、人間関係の機微といった「人間社会のコンテキスト(文脈)」をAIが完全に理解し、対面で指導したり配置転換といった判断を下すことは、当面の間は不可能です。

責任を負って、トレードオフ(何かを捨てる痛み)を受け入れる

これは、人間にしかできない、最後まで残る仕事です。逆に言えば、決断を避けて調整ばかりしている仕事は、AIによる自動化や効率化の波に飲み込まれていくでしょう。

嫌われることを恐れず決断する

業績不振の企業や停滞するチームの会議を見ていると、この「決断の欠如」が共通しています。売上が未達なのに抜本的な改革を決断できない営業責任者、炎上プロジェクトを中止にする勇気がないCTOなどといった具合です。

情報不足や経験不足も理由ですが、何よりこの「トレードオフの覚悟」がないのだと感じています。しかし、「成果に繋がらないもの」「組織に悪影響なもの」を捨てる決断をするまでは、状況は好転しません。

決断は損な役回りです。たとえ正しくても、捨てられた側からは恨まれるかもしれません。しかし、だからこそ、その苦渋の決断を背負えるリーダーには高い価値(報酬)がつくのです

そしてAIが多くの業務を代替する時代だからこそ、「嫌われることを恐れず決断する」という人間臭いリーダーシップの価値は、いつまでも残り続けるのです。

三浦 慶介 株式会社グロースドライバー代表取締役社長

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みうら けいすけ / Keisuke Miura

1983年生まれ。一橋大学法学部卒業。サイバーエージェント、リヴァンプ、グロース上場企業スパイダープラスのCMOを経て2025年に独立。ゲーム・小売・飲食・教育・建設Techなど幅広い業界で事業成長を牽引。会員数150万を超えるヒットゲームの開発、数百万人が利用するCRMアプリの企画・開発、年間数十億円を運用するマーケティングチームの内製化、1年で生産性を160%改善する営業改革など、業種・業界を問わない事業成果を実現。現在は「AI時代の人材育成×事業戦略」を専門に、事業成長の伴走支援と知見の体系化に取り組む。著書に『AI時代に仕事と呼べるもの』(東洋経済新報社)がある。

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