226個のブロックは神戸へ、建物は淡路島へ──万博パビリオンが挑んだ「解体なき未来」の現在地
高さ16m、幅43mのアンモナイト型建築だ。「いのち、ありがとう」をコンセプトに、高さ8mの「生命進化の樹」を展示した。世界最大級のアンモライトもある。iPS細胞から作った拍動する心臓も展示した。上下や水平に動くキューブ形スクリーンに映像を投影する「NATUREVERSEショー」は好評だった。
展示内容の移設は検討中だ。ただ、パソナが目指すレガシーは「建物や展示の保存にとどまらない」。「人の意識と行動の変化を生み出すこと」だ。展示した技術やコンテンツは、淡路島を中心に展開する各施設・事業で使っていく方針だ。
オランダパビリオンもパソナの申し出で淡路島に移る。パソナの広報担当者は経緯を語る。「オランダ国として資源が限られている中で、それを次に受け継いでいくという話があった」「この万博をきっかけに両者で話した」。大々的な募集ではなく、双方の対話から生まれた。
オランダパビリオンは「コモングラウンド(共創の礎)」をテーマに、水との共生を掲げた。国土の4分の1が海面下にあるオランダの水管理技術や循環経済を紹介した。来場者に渡す「エネルギーオーブ」という光る球体が展示と連動する体験型パビリオンだった。中央の直径11mの球体内では、AI生成による360度ドーム映像を上映した。
オランダパビリオンは全ての建材をマテリアルパスポートに登録した。解体後の再利用を前提に設計した循環型建築だ。この理念がパソナの考え方と合い、淡路島での新たな展開につながった。
EARTH MART、「食のミュージアム」を各地に展開
EARTH MARTは「食を通していのちを考える」をテーマに、スーパーマーケットを模した空間で展示した。「いのちのフロア」では、日本人が一生に食べる卵2万8000個を天井から吊るしたシャンデリアで表現した。「未来のフロア」では、ゲノム編集の魚を「すきやばし次郎」の寿司職人が握る展示や、日本が誇る25種類の食材「EARTH FOODS 25」を気鋭のシェフ5人が料理に仕立てた展示を見せた。協会が主催するシグネチャーパビリオンとして運営した。



















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