226個のブロックは神戸へ、建物は淡路島へ──万博パビリオンが挑んだ「解体なき未来」の現在地
ルクセンブルクパビリオンは「次の資材リユースを考えて」設計した。星文絵館長アシスタントは「サーキュラーエコノミーの概念に基づいて建てた」と説明する。「建てる時点で次の資材のリユースを考えて作った」。通常の布基礎と違い、ブロックは閉幕後に取り出して洗える。次の現場で使える。
パビリオンは約20分のツアー形式だ。目玉はハンモックのようなネットに横たわりながら、ネット上でルクセンブルクの1日を体験できる展示だった。会期終盤は5時間待ちの人気だった。
星館長アシスタントは「展示自体はここでしか体験できない」と語る。「ただ、部材が別の形で次の場所で使われることが、パビリオンのレガシーを残すことになる」。建材の再利用だけがレガシーではない。サーキュラーエコノミーの実践そのものがレガシーだという考え方だ。
パビリオンの再利用計画支援を担当した船場の渡邉麗氏によると、「ルクセンブルクは循環性をテーマにパビリオンの設計がされていた。サーキュラーエコノミーの原則に則ってやるものとしていた」。
ネスタリゾート神戸の小野里尚樹氏は「サーキュラーエコノミーの想いに共感し、当初は何をもらえるんだろうと期待した」と振り返る。コンクリートブロックと聞いて、駐車場周辺の土留めに使うアイデアが浮かんだ。「ゼロから作ると何億もかかる」「ただ並べるだけでも何億もかかる」。万博のレガシーとして、ビビッドなカラーでデザインされたブロックを「見える形で残し続ける」ことにした。移設は2026年春頃の予定だ。
ルクセンブルクパビリオンでは、外装に使われた軽量膜もバッグに加工された。これは東京のモンドデザインが手がけ、SEALブランドで販売し、売り切れた。同社は廃タイヤなどの廃材からバッグを製作しており、今回のプロジェクトに協力した。
パソナとオランダ館は建物丸ごと淡路島へ
パソナグループは「PASONA NATUREVERSE」のパビリオン建物を、閉幕後に淡路島へ移す。同社広報は「万博期間中に来られなかった方々にも見てもらえるよう、レガシーとして淡路島に残す」。



















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