世界史上で3代以上続いた裕福な一族は希少。しかし12代にわたって繁栄した名家がある。彼らがお金を増やし続けた意外すぎる方法

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チェ氏一族には、先祖代々家訓のように受け継がれる、6つの原則があったのだという。

その1 進士以上の官職につかないこと
その2 1万石以上の財産をつくらないこと
その3 過客を丁重にもてなすこと
その4 凶作の年は他人の畑を買わないこと
その5 嫁いできた女性には、3年間木綿の服を着せること
その6 周辺の100里以内で飢え死ぬ人を出さないこと

一見、不思議なルールにも合理的な理由が

なぜ凶作の年に他人の畑を買ってはいけないのだろうか?

調べてみたところ、凶作で飢え死にするほどの危機に襲われると、人々は苦肉の策として畑を売ってお米を買っていたのだけれど、当時、お米は貴重だったため、畑を二束三文で売る人が多かったという。

お米を十分に蓄えている上流階級の人々にとって、凶作の年は畑を破格の値段で買い、財産を増やす絶好の機会だったのだ。ところが、チェ氏一族はそれを禁じた。畑を売りに出し、心に深い傷を負った人々のうらみを買えば、一族にとって決して得にならないと判断したのだ。

それどころか、チェ氏一族は凶作になると、周辺の100里以内で飢え死にする人が出ないように、困っている人々に穀物を分け与えたという。

100里は、kmで換算すると、約400kmという広大な範囲を指す。このように、自分たちだけでなく、まわりの人まで食べ物に困らずに暮らせなければ、長いあいだ一族を保つことはできないと考えたのだ。

チェ氏一族が300年にわたって一族を守れたのは、自分たちだけが共存共栄の哲学を誰よりもうまく実践したからだろう。

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