なぜドラッグストアの食品は安いのか?スーパーを脅かす「価格破壊」の裏側と「支持されるスーパー」の特徴

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ドラッグストア各社も、食品を安売りする傾向を強めている。その最右翼が九州から関東に進出してきたコスモス薬品だ。

「ディスカウントドラッグ」を掲げ、食品の売上高構成比が60%を超える。利益率の高い医薬品や健康食品を売るため、利益率を抑えた安い食品で客を集める戦略をとり、出店地域ではスーパーマーケットの牙城を切り崩しつつある。

どっちがお得なのか?

「スーパーマーケットとドラッグストアはどっちが安いのか」、あるいは「どちらがお得なのか」。疑問に感じる読者は多いだろう。

なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる (朝日新書)
『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(朝日新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

スーパーマーケットの強みは何といっても生鮮食品だ。ドラッグストアは人手や設備にコストがかかるため、野菜や果物、刺身や肉などにはなかなか手を出せない。

もちろん生鮮食品を扱うドラッグストアも増えているが、仕入れはスーパーマーケットに一日の長があり、新鮮さで勝る。魚は冷凍、肉は豚肉のみといったドラッグストアも多い。

一方、医薬品や健康食品、シャンプーや洗剤などの日用品ではスーパーマーケットに勝ち目はない。ドラッグストアは利益率が高く額も大きい医薬品や健康食品を買ってもらうために、食品を「目玉」として格安販売する傾向にある。

食品を「収支トントン」で売っても、客の来店頻度が上がれば、利益率の高い商品を買ってもらえる確率が上がるからだ。

従来は菓子やペットボトル飲料が目玉商品だったが、最近は豆腐や卵、パンなどもチラシ特売以外ではドラッグストアのほうがお買い得であることも少なくない。

白鳥 和生 流通科学大学商学部経営学科教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しろとり かずお / Kazuo Shirotori

1967年、長野県生まれ。明治学院大学国際学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。小売、卸、外食、食品メーカー、流通政策などを長く取材し、『日経MJ』『日本経済新聞』のデスクを歴任。その一方で、国學院大學経済学部と日本大学大学院総合社会情報研究科の非常勤講師を担当。日本大学大学院で企業の社会的責任(CSR)を研究し、2020年に博士(総合社会文化)の学位を取得。2024年、流通科学大学商学部経営学科教授に着任。著書に『即! ビジネスで使える 新聞記者式 伝わる文章術』(CEメディアハウス)、『不況に強いビジネスは北海道の「小売」に学べ』『グミがわかればヒットの法則がわかる』(ともにプレジデント社)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事