なぜドラッグストアの食品は安いのか?スーパーを脅かす「価格破壊」の裏側と「支持されるスーパー」の特徴
同協会の推計では、「フーズ・その他」の売上高は13%増の2兆8329億円と全体の28%を占めた。増加率は化粧品などの「ビューティケア」や「調剤・ヘルスケア」をしのぐ。
一般的に食料品は医薬品・日用雑貨よりも在庫の回転が速い。そのため食品比率の高いコスモス薬品などは高回転がキャッシュを生み、店舗網の急速展開につなげている。
かつてアメリカでウォルマート・スーパーセンターが食品スーパーのパイを奪っていったのと似た状況だ。
ドラッグストアは食品が安い?
食品強化に注力するドラッグストアでは、野菜などの生鮮品、卵や牛乳といった日配品を強化する動きも目立つ。全国スーパーマーケット協会の消費者調査(24年)でも、商品別利用率ではカップ麺などの常温の加工食品、菓子、清涼飲料などでドラッグストアの利用率が4割を超えた。
包丁を所有しない家庭が増えているという現実が示すように、消費者の「作らない化」が進み、素材そのものが売れなくなっている。
ピーター・ドラッカーは、構造変化はその産業の外にいる者に例外的というべき機会を与えるが、産業の内にいる者には同じ変化が脅威と映る(『イノベーションと企業家精神』)と指摘した。
業界というものは、そこで長年働いている者には安定していて不変のように見える。だが、産業構造は意外にもろい。日本の電機業界を語るまでもなく、ときにあっけなく崩壊するのだ。
スーパーマーケットが担ってきた「食品販売の主要チャネル」という役割を維持するためには、業態化の競争に品揃えやサービスで勝っていかなければならない。
個人の中での消費の二極化、言い換えればメリハリ消費といった現象も見逃せない。
普段は節約する「これでいい消費」と、このときばかりは出費を惜しまない「これがいい消費」を持ち合わせた生活者が増えている。基本は節約だが、旅行や外食、趣味(推し活など)には思いきってお金を使うのだ。
コロナ禍で人気を集めた趣味にキャンプがある。ホームセンターで2万円のテントを買った初心者も、数をこなすうちにもっと機能性が高いテントがほしくなり、スノーピークの20万円台の商品に手を伸ばす――。「これがいい消費」だ。



















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