猿が人間に進化した?高い木の葉っぱを食べようと首を伸ばしたキリンの子孫が残った?いまだに多くの人が誤解している進化論

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進化論に関する2つめの誤解は、進化が線形的な発展の過程だという考え方だ。

たとえば、原始バクテリアが魚類や両生類になって、そこから爬虫類と哺乳類が生まれて、最後に類人猿と現代の人類が現れたというものだ。このようなイメージを持っていると、自然とこんな質問が出てくる。「じゃあ、時間がたてばいつかは猿が人間になるの?」。

これは進化が線形的な進歩だと誤解しているから出てくる質問だ。

だけど進化はこのように線形的に行われるものではなくて、むしろ放射状に拡散していくイメージに近い。

進化は線形的ではなく放射状に起こる

いまから38億年前、原始地球のある時期に登場したすべての生物の共通の祖先、LUCA(地球上の生命の共通祖先)のことをもう一度思い出してみよう。

このおじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさんは、単細胞生物だった。この単細胞生物は、はじめて繁殖を通じて新しい単細胞生物を生み出したはずだ。そしてアメーバや大腸菌などの単細胞生物は、いまも地球上でいちばん成功した生物として繁殖をつづけている。

そんな10億年前のある日、この単細胞生物の中の1つの個体から最初の多細胞生物が誕生した。そしていまもキノコやカビといった形で存在している。

さらに5億年前には、多細胞生物の中から最初の脊索動物、ピカイアが登場した。

その中の一部はさらに進化して魚類になった。

魚類から出てきた1つの枝からは爬虫類と両生類が生まれた。

爬虫類の一部は鳥類に、哺乳類の一部は類人猿になった。

類人猿から生まれたチンパンジーや猿は、森という環境に完璧に適応して定着した。

他の類人猿はそれぞれの方向に進化をつづけて、人類を含む霊長類になった。

単細胞生物とカビと魚類と爬虫類と類人猿は、いまも繁殖しながらそれぞれの進化の道を進んでいる。

人類もその道を進んでいる1つの枝にすぎない。

アメーバや大腸菌は原始的な種で、人類は進化の最終形に到達した完成度の高い存在だと考えるのは、進化に対する誤解だ。

猿が人間になることも、人間が猿になることもない。

チェ・ソンホ 作家

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ちぇ・そんほ / Chae Sungho

1981年生まれ。作家。成均館大学哲学科卒業。学生時代から文学、哲学、宗教、西洋美術、物理学など多様なジャンルに没頭。「チェ社長」名義で執筆した『全人類の教養大全』シリーズは2014年に刊行されるやいなやトリプルミリオンを達成。2015年には国内著者別売上トップを記録。以来、ベストセラーの座が揺るがない驚異の作品である。自身のポッドキャストは2億ダウンロードをゆうに超え、テレビなどのメディア出演多数。読者に望むことは、社会と人生のしくみを理解し、人とのコミュニケーションをよりよいものにしてもらうこと。

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