猿が人間に進化した?高い木の葉っぱを食べようと首を伸ばしたキリンの子孫が残った?いまだに多くの人が誤解している進化論

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

進化論について説明してみて、というと多くの人がこんなふうに答える。

「たとえば、キリンの首が長いのは高いところの葉っぱを食べるために努力したからだよ。こうして進化が行われるんだ」

だけど、こういう考え方は進化論に関する代表的な誤解だ。

ラマルクの「用不用説」とダーウィンの「自然選択説」

このような考え方は「用不用説」と呼ばれるもので、フランスの動物学者ラマルクが提唱した仮説だ。彼はダーウィンよりも前に進化論を主張した学者なので、進化論の先駆者ともいえる。ラマルクは1809年の著書『動物哲学』で進化について次のように説明した。

「動物は生きているあいだに必要な形質を発達させる。獲得した形質は子孫に伝わる」

当たり前のように聞こえるかもしれないけれど、これはまちがいだ。

個別の個体が獲得した形質は次の世代に伝わらない。

たとえば、ずっと右腕でやり投げをしてきて右腕がすごく発達した人がいるとしよう。その人の子どもは、右腕が発達した状態で生まれるのだろうか?

そうではない。

ラマルクの著書から50年がたった1859年、イギリスの生物学者チャールズ・ダーウィンは『種の起源』で自然選択説を発表して生命と人間の進化に関する洞察を示した。

自然選択説とは、環境に適合した生物が生存と繁殖において優位を占めることができるので、その個体の形質がどんどん次の世代に伝わっていくという理論だ。

たとえば、過去にアカシアの葉を主食とする首が短いキリンの祖先がいたとしよう。ある日、気候が変わってアカシアの数が減ると、首が短い個体はほとんど飢えに苦しむようになった。

だけどこの中には突然変異で生まれた首の長い個体もあった。その個体は競争することなく高いところの葉を食べることができたので、栄養状態がよく、繁殖にも有利だった。

すると徐々に、キリンの中で首の長い個体の割合が高くなっていったのだ。

次ページがんばった猿はいつか人間になっていくのか
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事