ロボット (Endhiran/The ROBOT) --次なる「インド」《宿輪純一のシネマ経済学》
もしかしたら日本ではいちばん知名度のあるインドの映画スター『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995年)のラジニカーント(久しぶり!)が、1人2役で主演したインド映画である。さらに、94年度ミスワールドに輝いたアイシュワリヤー・ラーイが、ヒロイン役で出演しているのも注目だ。
2010年の公開であるが、独特な激しいアクションシーンが話題を呼び、インドでは国内史上最高のヒット(!)を記録、アメリカ、イギリス、韓国などで全世界累計の興行収入は100億円を突破というから驚きだ。そこで、やっと日本でも公開と相成った。しかし、見てみると空前のヒットとなったわけもわかる、とにかく、“何が何だか”わからない勢いなのだ。
主人公は、インドらしくIT系のロボット工学のバシー博士(ラジニカーント)。自分そっくりの高性能ロボット、チッティ(ラジニカーント2役)を開発する。博士と同様に、人間の感情をプログラムされたチッティは、博士の恋人サナ(ラーイ)に恋をするが、「人間と機械は愛し合えない」と振られ、失恋のショックから大暴走を始めるというわかりやすいトーリー。
チッティは、大量生産した自らのレプリカのロボットで最強の戦闘軍団を結成し、サナを奪取するため、徹底的な破壊行為を繰り返す。電車を横に激走、電車内ではワイヤー・カンフー、高速道路では戦争並みのカーアクション、何百体ものロボットが球のように合体し四方八方に行う攻撃など、ラスト40分は“何が何だか”の衝撃だ。