もはやヤケクソ? 麺類1杯なんと90円、『魚べい』の衝撃的キャンペーンが"大当たり"中!まさかすぎる価格設定の裏にある「緻密な戦略」

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この体験を通じて痛感したのは、「90円ラーメン」は単なる“集客のエサ”ではなく、「魚べい」というブランドの入り口として緻密に設計された体験導線であるということだ。担当者もこう話す。

「魚べいで人気のサイドメニュー(ラーメン・うどん)のおいしさを、より多くの人に知ってもらいたかった」

本キャンペーンの“本質”とは

つまり、価格で誘い、品質でつかむ。一度訪れた客が「寿司もラーメンも美味い」と感じれば、再訪の確率は跳ね上がる。企業としてはファーストタッチを最大化し、長期的なロイヤルカスタマーを育てる布石となる。さらに、回転寿司というカテゴリを超えて「麺類」を打ち出すことで、ランチ市場におけるポジションを拡張している点も見逃せない。

「家計応援」という言葉の裏には、単なる値引きではない、消費者との心理的距離の短縮という意図がある。外食が贅沢になりつつある時代に、500円で満たされる幸福感を提供すること。その社会的意義は決して小さくない。

マクドナルドが65円ハンバーガーを展開した当時、その狙いは客数を増やし、リピートを生むことだった。「魚べい」の90円ラーメンも同じ構図に見える。だが本質は、もっと先にある。

デジタルオーダーや自動レーンを駆使した、人を減らしても満足度を下げない店づくり。その強みを生かしながら、消費者心理に刺さる価格帯を作る。これは、単なるキャンペーンではなく、新しい飲食モデルの実験場と言っていい。

物価高が続く社会において、安くて満足できるという体験価値を再設計できる企業は強い。「魚べい」が今後、この「90円ラーメン」の衝撃をどこまで波及させるのか。それは、外食業界全体にとっても、大きなヒントとなるはずだ。

魚べい外観
今後も『魚べい』の動向から目が離せない(筆者撮影)
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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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